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モンスターの正体?! 

怪異 古生物考
 土屋 健(著)、萩野慎諧(監修)、久木 真人(イラスト)



昔話や神話の中にしばしば登場するモンスター達。
そのモデルは古生物の化石では?という仮説の下、神話や昔話で語られるモンスターの姿はある程度、正しい、という前提に立ち、その正体を探るというもの。
登場するモンスター達は、ユニコーン、グリフォン、ルフ(ロック鳥)、キュクロプス(サイクロプス)、龍、ぬえ、天狗、八岐大蛇、鬼・・・と「大物」が並ぶ。
ちなみに、監修とコラムを担当している萩野慎諧氏は、同様の本「古生物学者、妖怪を掘る」(NHK新書)を出している。

「はじめに」に書いてあるが、「〇〇というモンスターの元ネタは××の化石だよね」という話は古生物に関わる人たちの間の「持ちネタ」にもなっているらしい。
また、この本では、モンスターの正体を決めにかかっている訳でもない、と断っている。
あくまで、〇〇という本の記載が正確だとしたら、古生物(時に現生種も)の××の可能性がある、と言っているにすぎない。

確かによく似ている、というものから、ちょっと強引だろう、というものまで、様々。
ただ、著者もそれを承知で書いている。
素人の思い付きレベルから、専門家の反論まで、「ツッコミ」が来るのを期待している。
今後、侃々諤々の議論をして、盛り上がれば、という期待があるらしい。

印象に残ったのは「龍骨図」と「天狗髑髏図」の話。
いずれも日本の江戸時代に発見された「龍」の骨と「天狗」の骨。
どちらもその精密な絵図が残っているため、現在の学者が見て、〇〇の骨ではないか、と推論が可能になっている。
ちなみに、江戸時代の一部の学者も現在の学者と同じ結論に至っていたらしい。

目の前のものの正体が分からないなら、分からないなりに正確に記録に残す。
そういう事を意識していなくても、芸術家として、目の前のものを正確に描写しようとする姿勢が結果的に学者の記録と同じ意味を持つケースもある。

西洋の科学が大々的に日本に入っている前であっても、科学的なものの考え方ができる人がいた(それも少数ではなさそう)という事に驚き。
それどころか、得られる情報の量を現在と比較すると、江戸時代の学者の方が優秀だったのでは?という気さえする。
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カテゴリ: 土屋 健

テーマ: 読書感想 - ジャンル: 本・雑誌

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「敵/味方」思考 

「世界を敵と味方だけに分けたら、
全てを焼き尽くす事になっちゃうの」

--ナウシカ(「風の谷のナウシカ」原作より)

ナウシカを「母」と呼ぶ巨神兵オーマへの言葉。

9/4 朝日新聞朝刊の連載「平成とは あの時」 第11回
「9・11が崩した二つの宝
 「敵/味方」思考 日本にも伝播」
という記事を読んで、思い出した言葉。

「敵」を作る事は、「味方」を団結させられるし、本当の問題から目をそらせることができるので、人を大勢集めて、何かしようとしている人がよく使う、大昔からの常套手段です。

が、「敵」と言われた人は?
"敵"と言われた人も同じ思考なら、「あいつらこそ"敵"だ!」とか言って、お互いドンパチ。
それが行き着く所まで行くと、"世界を焼き尽くす事"になってしまうのでしょう。
昨今、"敵"に対しては、何をしてもいいというような風潮もあるので、あながち極端すぎる、とも言えません。

それに色々なものを"敵"呼ばわりし続けると、いずれ自分以外は"敵"になってしまいます。

「漫画家本 Vol.1 藤田和日郎本」(小学館)で、藤田和日郎へのインタビューの中で、「許せるヤツが一番強い」という事が語られていたのを併せて、思い出しました。
「指輪物語」(J・R・R・トールキン 映画「ロード・オブ・ザ・リング」原作と言った方が分かりやすいでしょうか)でも、悪い魔法使いに最も痛烈な一撃を与えたのは、主人公フロドの「あなたを許します」という言葉でしたし・・・。

でも、最も難しいのも「どこかのタイミングで許して、手を引く事でしょう。」(前述の、藤田和日郎へのインタビューより)

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ビルのふしぎな旅 

ファザー・グース
  ウィリアム(ビル)・リッシュマン
  武者圭子 訳
   新潮社


読了日:2018/08/18

あらすじ・要約:
「鳥と共に空を飛びたい」と願った男が、その夢を実現させるまでを描いたノンフィクション。
ハンググライダーにエンジンをつけただけのようなウルトラライトプレーン(超軽量飛行機)で飛ぶ著者と、それと編隊を組むカナダガンの写真が印象的。
映画「グース」(1996年 監督:キャロル・バラード)の原作(というより原案)

感想:
2014年から2017年の初夏の時期、3年連続で、近くの公園でカルガモ親子を観察する事ができた。
2014年:https://park-photo.at.webry.info/201405/article_7.html
2015年:https://park-photo.at.webry.info/201505/article_1.html
2016年:https://park-photo.at.webry.info/201607/article_3.html
その時、もしチビカモ達が、自分の後をついてきてくれたら、興奮のあまり、鼻血を出して倒れていたに違いない、と思ったものだった。

チビカモがついてきただけでも、大騒ぎなのに、鳥と一緒に空を飛ぶなんて、うらやましい以外のなにものでもない。
ただし、そのための準備はしなくてもいい、という前提で。

ところで、本書にはカラー写真も豊富に掲載されているが、その写真を見て思うのは、やはり「飛んでいる鳥の姿は美しい」ということ。
その姿を手が届きそうな場所から見られる、それどころか自分の後をついて飛んでいる、というのは、うらやましいを通り越している。
もっとも、映画「WATARIDORI」(2001年 監督:ジャック・ペラン)を見る限り、鳥の方からすると、飛ぶ事は、そんなに優雅なものではないみたいだが。

それにしても驚かされるのは鳥の方向感覚の鋭さ。
渡りの往路は著者がガンたちを先導したが、復路はガンたちだけで戻ったという。

チビカモを観察していた時も、散歩の置いてけぼりをくったヒナが、鳴いても迎えが来ない事を悟った途端、自分で家族を追いかけていったのを何度か目にした。
しかも追いかける途中、道に迷うそぶりは全く無し。
もっとも鳥たちに言わせれば、人間の方が鈍すぎるのだろうが。

最近、読んだ「鳥」(ジェニファー・アッカーマン 鍛原 多惠子 訳 ブルーバックス)にも書かれていたが、所謂「鳥頭」は、褒め言葉として使わなければならないのかもしれない。

カテゴリ: ウィリアム・リッシュマン

テーマ: 読書感想 - ジャンル: 本・雑誌

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聞こえるか? 聞こえるだろう 

天文学者が、宇宙人を本気で探してます!
 鳴沢真也
 洋泉社

読了日:2018/08/07

あらすじ・要約:
SETI(地球外知的生命探査)を専門にしている著者による国内外のSETI計画の解説。

感想:
「宇宙人」というと、すぐオカルトと結びつけられがちだが、本書は天文学者たちが行ったSETI(地球外知的生命探査)を解説している。
SFなのか、天文学なのか、微妙な分野だが、個人的には大好物。

国内外のSETIプロジェクトの内容の解説については、「宇宙人の探し方」(幻冬舎新書)と重なる部分も多い。
が、一度しか受信できなかったものの、正体不明の謎の電波を受信した、という話は何度聞いても、ワクワクしてしまう。

ところで、今回は「地球外知的生命発見後の活動の原則についての宣言」(地球外知的生命体を発見した後、どのように行動すべきかを定めた国際的な議定書)を時代に合わせて改訂するべきだ、という話も出てくるのが面白い。
それも日本と海外でほぼ同時期にそんな話をしていたとか。

カテゴリ: 鳴沢真也

テーマ: 読書感想 - ジャンル: 本・雑誌

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紙の魔法使い 

折り紙でたくさんの笑顔を
 田島栄次 著
 学研


読了日:2018/07/28

あらすじ・要約:
全盲の折り紙作家であり、「折り紙大使」として、世界各国を巡った加瀬三郎氏の物語。

気になった言葉:
その子ゾウは、ただ親ゾウを小さくしただけじゃないか。もっとかわいくないとなあ。

感想:
目が見えないのに折り紙!?
・・・と思うが、加瀬氏が折り紙を教えた子供たちの中には、指が無い子、両手両足が無い子も含まれていた。

目が見えなければ、紙を触った感覚を駆使し、指が無ければ手首や肘で、両手両足が無ければ(手伝ってもらいながら)口を使って、折り紙を楽しむ。
やってみたい、と思えば、なんとかその方法を探し出す強さが印象的。

創作折り紙ができる健常者の人の頭の中がどうなっているのか、想像がつかないが、全盲なのに創作折り紙ができるというのは、もはや魔法使いとしか思えない。
そんな加瀬氏の代表作は「ハローフォックス」と名付けられたキツネの折り紙。
20180728_折り紙でたくさんの笑顔を

このキツネを世界中の子供たちに教えまわっていた。

折る回数は6回のみ。
極めて少ない手順にもかかわらず、キツネの特徴がよく出ている。
しかも、シンプルなだけに紙の種類や、折り手によって、細身だったり、恰幅がよかったり、派手だったりと、キツネに「個性」が出てくる。
これは子供は喜ぶだろう。

自分も趣味で折り紙をやっているが、複雑なモノに走る傾向がある。
(詳しくはコチラ
それだけにシンプルな折り紙の、小さい子供から高齢者まで、誰でも楽しめるという、間口の広さには、うらやましさを感じてしまう。

ところで、「気になった言葉」に挙げたのは、加瀬氏が自信作の親子ゾウを近所の子供に見せた時に受けた「批評」
キビシイ!

折り紙を人にあげる時は、ドヤ顔などしない方が身のためだろう。

カテゴリ: 田島栄次

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