小人閑居

「ベストセラー」より「知る人ぞ知る」といった本を紹介していきたいと思います。

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少しだけ違う世界

「あなたの人生の物語」
 テッド・チャン  ハヤカワ文庫


テッド・チャンのSFは、一見、現実世界と変わらないように見えて、少しだけ異なる世界が舞台、という作品が多い。
そのため、油断して読んでいると「?」となってしまう事がある。

表題作の「あなたの人生の物語」も自分にとって、そんな話の一つであった。

「あなたの人生の物語」は、地球にやってきたエイリアンから、彼らの言語を理解しようとする女性言語学者の話である。
エイリアンの言語を学ぶうちに、自身もエイリアンの思考方法と同様の考え方ができるようになってくる。

そのエイリアンの考え方を表現するため、ヒロインの娘の生涯が語られる。
娘が生まれる時の話
 ↓
娘が死んでしまう時の話
 ↓
娘の成長途中の話
・・・という順番に語られる。

しかも意図的に「ある事」が伏せられており、最後に「え?」という事になる。
だが、正直、話が分かりにくい。エイリアンの発想方法に準じているから当たり前と言えば当たり前かもしれない。

日頃から2回、読んだ上で感想を書くことが多いのだが、この話だけ3回、読み返してしまった。


他に印象に残ったのは「72文字」
現実世界と少しだけ異なる世界が舞台。その世界で「人の誕生メカニズム」を研究する話。
異なる世界の話だが、暗に「遺伝子」の働きを解明する話をしている。

話の構成として面白かったのは「顔の美醜について」
脳内で「人の顔の美醜を認識する機能」だけをマヒさせる処置(略称:カリー)が開発された、という設定で、とある大学で、そこの学生は、その処置を義務化しようという運動のドキュメンタリーで、関係者へのインタビュー結果だけで成り立っている。

最初は「容貌による差別」の話であったものが、「CMでサブリミナル効果を使う」事も入り込んでくる。
カリーが実際に開発されたら、自分を処置するだろうか、それともしないだろうか。
どちらかにする、とすぐ断言できない事は断言できる。(?)

・・・とここまで書いて、テレビで異常な食欲を抑えるため、脳手術をした人の話を見て、考え込んでしまった。
手術の結果、食欲は抑えられた(というよりなくなった)が、性格まで変わってしまった、という話だった。

架空の技術を前提にしても仕方がないのだが、
「自分が自分でなくなるかもしれない」
のと
「自分でも気が付かないうちに知らない誰かに動かされている」
のは、どちらがいいのだろうか?

いつの間にか「容貌の美醜」の話がどこかにいっているが、なんだかいろいろ考えさせられてしまった。
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