小人閑居

「ベストセラー」より「知る人ぞ知る」といった本を紹介していきたいと思います。

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ウロボロス

宇宙になぜ我々が存在するのか
 村山斉
  講談社ブルーバックス


物理学で物質を構成する最小単位と言われている素粒子。

最初は原子が最小単位と思われていたが、その後、原子は原子核と電子でできている事が分かる。
そして、原子核は陽子と中性子から成る事が判明し、その陽子と中性子は3つのクォークから成る事が分かってきた。
他にも、この宇宙を作っている素粒子がいくつも見つかっている。

タイトルからすると一瞬、SFに出てくるような「異次元」とかの話が出てくるのか、それとも哲学的な話が出てきてしまうのかと思ってしまうが、本書では物質を構成する最小単位、素粒子についての解説を行っている。

あえてだと思うが、専門的な式を使わずに説明しているので、とっつきやすいイメージがあるが、そのためにざっくりとした説明になっている部分もある。
むしろ、詳しい説明になっていたら、途中で挫折していただろう。

全部で7章あるうち、1章から5章までを使って、素粒子自体の解説や、発見までの歴史が語られ、6章を丸ごとヒッグス粒子についての説明。
そして、7章になって、初めてタイトルにもある「宇宙になぜ我々が存在するのか」が語られる。

ヒッグス粒子の解説もなかなか面白かった。
著者の推測ではあるが、ヒッグス粒子は異次元で運動している素粒子ではないか、という辺り、SFとしか思えない。

宇宙論の場合、優れたSFと実際の理論は、どちらがより奇抜で正確かを争っているようなところさえある。
(大袈裟に言っているが・・・)

ところで、結局のところ、「宇宙になぜ我々が存在するのか」という問いの答えは「物質」があるから。
一見、あまりに当然な事かもしれないが、よく考えてみると、そうでもない。

「物質」と「反物質」が同じ量だけあるはずが、今は「物質」の方しかない。
(その理由はあるのだが・・・)
重力などをはじめとした物理的な力の強さなどは、人間が誕生するのに絶妙な(というより、出来すぎなくらいの)強さになっている。

少しでも値が違っていたら、宇宙や恒星、人間は誕生していない。
あまりに出来すぎなので、宇宙は他にたくさんあって、その一つが自分たちがいる宇宙ではないか、という事を解説しているのが、著者の別の本「宇宙は本当にひとつなのか」

物質の最小単位について調べていたはずが、宇宙の姿を(別の宇宙の姿さえも)解明する方法にも繋がっていたというのが、不思議、というか面白い。

本書の冒頭で紹介されているが、素粒子の研究は「ウロボロスの輪」のイメージだという。
ウロボロスは自分で自分の尾をくわえて円になっている蛇。
尻尾を「素粒子」と例えるなら、頭は「宇宙」となる。

「ウロボロスの輪」は、ギリシア神話で「宇宙の調和」を表すシンボルらしい。
まぐれ当たりとは言え、意外と、いい線いっていたのか・・・。
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「外」の世界

宇宙は本当にひとつなのか
  村山斉
    講談社



ブルーバックスのシリーズでは珍しく出版後、3ヶ月以上経っても、新聞に広告が載るほど人気がある本書。

SFの世界では「パラレルワールド」というアイディア自体は、それほど珍しいものではない。
だが、それが事実かもしれない、としたら?

宇宙論の世界は、観測も難しいので、理論や式の解釈一つで大きく宇宙の構造が変わってしまう世界だ。
それだけにSFと現実の境界線がはっきりしない世界でもある。

好きな人には、そういう所が魅力の一つでもあるだろうし、興味のない人には、胡散臭い話とあしらわれてしまう。


本書では前半で、これまで分かってきた宇宙論を解説し、後半でタイトルにあるとおり「多元宇宙」の説明をしている。

そもそも何故、「他の宇宙」とかいう考えが注目されてきたのだろうか。
それは計算の間違いを認める事(=理論のほころびを認める事)と宇宙の「外の世界」を認める事を天秤にかけた結果である。

相対性理論や量子力学の理論にほころびがある、という可能性は、ありえないことではないが、これまでさんざん「追試」を受けてきたので、ちょっと考えにくい。
対して、「外の世界」は、それっぽい観測結果が見つかっている事もあるので、こちらを考えた方がよさそう、と考えられたから。

“暗黒流動”を観測、宇宙論を覆す?

暗黒流動、“宇宙の外側”の証拠を発見

多元宇宙論が検証可能に?

「多元宇宙」が事実にせよ、間違っているにせよ、まさに「事実は小説より奇なり」だ。

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