小人閑居

「ベストセラー」より「知る人ぞ知る」といった本を紹介していきたいと思います。

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夜空を見上げて

COSMOS(上・下)
 カール・セーガン
  朝日選書


1980年に製作されたテレビシリーズ「コスモス」、それと並行して書かれたのが本書。
ちなみに復刻版である。

古い本であるため、時代を感じさせる記述(「ソ連」という言葉が出てきたり、今では実現している探査計画が将来の計画として語られたり)するが、それはこの本の魅力を減らすものではない。

本書の著者カール・セーガンはテレビシリーズ「コスモス」の基本アイディアの作成、進行役としての出演、及び本書の執筆と3役をこなしている。
本職は天文学者であるが、その活躍の幅は広い。

「核の冬」を提唱した人(共同研究であるが)
探査機「パイオニア10号・11号」に取り付けられた「地球外知的生命体へのメッセージを記した金属板」のアイディアの発案者。
探査機、マリナー、バイキング、ボイジャー、ガリレオの実験計画の企画に関わった人。
映画「コンタクト」の原作者。
と言えば、どれかでピンとくる人も多いはず。

自分の専門分野だけに囚われず、広く「科学の語り部」として、活動できる人は数少ないが、間違いなく著者は、数少ない人の一人だろう。
本書以外でも「惑星へ」「サイエンス・アドベンチャー」「カール・セーガン 科学と悪霊を語る」などの「科学」をテーマとした著作がある。
この中では、個人的に「サイエンス・アドベンチャー」(その中でも「桜の木経由、火星行き」のエピソード)が一番、面白かった。

本書の内容は基本的には宇宙についての話がメインだが、著者の興味の範囲の広さに比例して、進化や歴史、核兵器の問題にまで話が及ぶ。
これだけでも著者の興味の広さが伝わってくる。
が、やはり力が入る(かのように感じる)のは、著者も大きく関わった火星探査の話と地球外知的生命体探査の部分。

火星探査機バイキングの話は、その時の不安と熱気が伝わってくるかのようだ。

探査機バイキングは着陸した場所から一歩も動けなかった。
そのバイキングのすぐそばだが、手が届かない所に興味深いもの(特に生物かもしれないもの)があったら、などという記述は、計画に参加した者でなければ書けるようなものではないだろう。

ただ、今では火星を自由に動き回る探査車が4台、送り込まれ、うち2台が、現在も稼動している。
先日、ナショナルジオグラフィック(2013年7月号)で、その探査車が撮った写真が掲載されていたが、見た事も無い別世界の風景のはずなのに、どこかで見た事があると感じてしまうような風景だった。

本書の中で、まさにこのような探査車を送り込みたい、と語っていた著者が見たら何と言っただろう。
自ら探査車の操作をやるとか言い出しかねない気がする。

ところで、もう一つのメイン(?)、地球外知的生命体の探査の話で印象に残るのは次の言葉。

「地球外知的生命体の探査は”滅び”が運命でない事を証明すること」

科学技術が発達し、人類を何度か絶滅させる事ができるほどの力を持った今、自分達より進んだ文明が発見できた場合、自滅せずに生き残り続ける道がある事が分かる、ということ。
ここまでくると科学の啓蒙書を通り越している。

読み終わった後、無性に、夜空を見上げたくなるのは、著者の術中にすっかりハマッたせいだろうか。
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