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「個」と「集団」 

しろいやみのはてで
 木村裕一 作
 あべ弘士 絵


「あらしのよるに」シリーズの特別編。
6巻で雪山の洞窟で身動きとれなくなった時に、メイとガブがそれぞれ以前の事を回想する、という話。

急に対象年齢が上がった、というのが第一印象。
メイとガブの気持ちが、より掘り下げられている。

メイの母親がギロ(ガブのいる群れのリーダー)に殺されていた、という設定は、アニメ版では冒頭から描かれるが、原作版では、この特別編で明らかになる。
この事実を知ったメイは、ギロと同じオオカミであるガブを憎んだが、ガブはガブだ、という気持ちが描かれていたりする。

実際の社会でも「オオカミ」という「集団」(しかも自らの偏見でイメージを作り上げた集団)で相手を見て、「ガブ」という「個」では見ない人がいる。
・・・と言うより、お互い先入観なしで、個人と個人として、相対した時、「悪い人」に会う、というのは、そうそうあるものではない(と思う)

相手が個性を持つ「個」だと、あまり強く責められないのに、顔のない「集団」だと、平気で責められるのは、なぜだろう?
「個」に対する攻撃だと、その「圧力」の大きさがよく分かり、自分でもひるんでしまうが、「集団」だと、その「圧力」が分散されるのが何となく感じ取れるからだろうか?
その線引きは、どの辺りにあるのだろう?

ちなみに本書は、この事がメインのテーマではない。
一部のエピソードから、こんな事に考えが至ってしまった、というだけなので、悪しからず。
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カテゴリ: 木村裕一・あべ弘士

テーマ: 読書感想 - ジャンル: 本・雑誌

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引っ張りすぎ? 

まんげつのよるに
 木村裕一 作
 あべ弘士 絵


メイとガブの友情物語もいよいよラスト。

「約束の地」へ辿り着いたメイ。
その地に住む動物たちも友好的で平和な土地だが、メイの心は晴れない。
なぜなら、ガブがいないから・・・。

が、絶望の淵にいたメイは、ある時、ウワサ話を耳にする。
この近くにオオカミが現れたらしい・・・と。


全7巻(+特別編1巻)という知識がなかったら、前作までで終わり、だと思っていただろう。

が、続きがあった。
前作のラストのままだと、あまりに悲劇的すぎる、という声があったためか、著者がもっと救いがあった方がよい、と思ったためだろうか。

個人的には、引っ張りすぎ、という気がする。

メイとガブの再会は韓流ドラマでありがちな展開。
悲しい物語として、6巻で終わっていたままの方がよかったのでは、と思う。

メイとガブには、6巻のラストで異なる選択をして欲しかった、という点は変わらないが・・・。

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相手を想う心 

ふぶきのあした
 木村裕一 作
 あべ弘士 絵


「あらしのよるに」シリーズの第6弾。
メイとガブの物語もいよいよクライマックス。

「ひみつのともだち」が秘密でなくなってしまったため、逃避行をするメイとガブ。
遥か彼方の山の向こうには、ヤギとオオカミが仲良く暮らしても、何も言われない土地があると信じて。

だが、「約束の地」へは、吹雪が荒れ狂う山道を抜けなければならない。
その上、ガブを追う、追手も近くまで迫っていた・・・。

メイとガブは、それぞれ相手を思うあまり、自分が犠牲になろうとする。

そこまで相手の事を思いやる事は尊い、と思う。
が、そういう事は、かえって残った方を苦しめてしまうのでは、という気がする。

たとえ善意からであっても、残った方は、常に「他に方法はなかったのか」と、自分を責めてしまう事になるのでは?
さらに、なによりも相手を孤独にしてしまう。

「君のためなら、死ねる」
というのは、ドラマの中では、カッコいいし、感動的な場面になる。

が、現実では残った方を苦しめるだけにしかならない気がする。
(まあ、現実にそんな状況に陥るような事は、まずないだろうが・・・。)

メイとガブにはカッコ悪くて、ドラマ的に盛り上がらなくても、違う選択をして欲しかった。
それでは物語にならないか・・・。

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二者択一 

どしゃぶりのひに
 木村裕一 作
 あべ弘士 絵


「あらしのよるに」シリーズ 第5弾。
1~4作目までは「起・承・転・結」の「起」「承」の部分にあたるが、本作は「転」となる。

「ひみつのともだち」であったメイとガブの関係が「ひみつ」でなくなってしまう。
その時、メイとガブがそれぞれ、仲間から突きつけられた要求は2匹にとって過酷なもの。

「ひみつのともだち」か、同族の仲間か、どちらかを選べ。

4作目までは、メイとガブの芯の強さを感じるエピソードはあったが、全体として、ほのぼのとした雰囲気があった。
が、本作では一転、悲劇的な雰囲気。
(タイトルの「どしゃぶり」が暗示している。)

ところで、自分がこんなツライ二者択一を迫られたら?

おそらく、こちらから出す「情報」と相手から得る「情報」のどちらも少しずつ「改ざん」するだろう。
そして、「情報」が正しくない、と分かった時点で、「相手からウソをつかれた」とか言って、それを理由にして、段々、距離を取るようにして、同族の仲間の下に戻っていくだろう。
(相手も同じ「理屈」が使えるように、こちらの「情報」も「改ざん」しておくわけだが・・・)

我ながら、こんな事を考えつくあたり、小賢しくなったとか、汚れたな、と思う。

が、メイとガブの2匹は、こんな対応せずに、真正面からぶつかる。
それこそが2匹の芯の強さなのだろうか。

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心遣い 

くものきれまに
 木村裕一 作
 あべ弘士 絵
  講談社


「あらしのよるに」シリーズの第3弾。

今回はメイがガブに会っている場所に、事情を知らない友達ヤギのタプが来てしまう事によるドタバタが描かれる。
メイとガブの関係がバレてしまうかどうか、ハラハラする展開。

タプはガブの姿がよく見えないので、まさかオオカミとは思わず、さんざんオオカミの悪口を言う。

それを聞いても、メイの友達だから、と怒る事なくガマンするガブ。
この辺り、ガブの人柄・・・いや狼柄が窺える。

が、さんざんオオカミの悪口を聞かされた挙句、ついに一声吠えて、森の中に走りこんでしまう。
ただ、それは相手を威嚇するためでなく、普通のヤギがオオカミの事をどう思っているかを知ってしまった悲しみの声。

「もしかしたらメイも、心の奥底では、そんな風に思っているのでは」
と思ってしまったのだろう。

だが、メイは「そんな事はない」と否定し、また会い続けよう、と約束する。
落ち込んでいたガブは、メイのその言葉に救われる。

地味かもしれないが、今回はメイとガブがお互いを思いやる気持ちが印象に残った。

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