小人閑居

「ベストセラー」より「知る人ぞ知る」といった本を紹介していきたいと思います。

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バッキャロー

タリスマン(上・下)
 スティーヴン・キング&ピーター・ストラウヴ
  新潮文庫


主人公ジャックは12歳の少年。
数年前に父を亡くし、今は母と暮らしている。

だが、母は、はっきりとは言わないものの、死の病にとりつかれている。
さらに悪いことに、ジャックの父の会社の共同経営者であるモーガン・スロートは、この機に会社を独り占めにするため、ジャックの母を言いくるめて、書類にサインさせようとしつこくつきまとう。

そんなモーガンから逃れようと、母子は、アメリカ東海岸の保養地までやってくる。
母はジャックには詳しい事情を話さないため、ジャックの方は薄ぼんやりとした不安を抱え、毎日を過ごす。

そして、ある日、寂れた遊園地で、ジャックは謎めいた黒人スピーディと知り合う。

スピーディーが言うには、
この世界には、もう一つ、背中合わせに存在する世界「テリトリー」があり、そこは魔法が支配する世界。
一部の人は「テリトリー」に、もう1人の自分「分身者(ツイナー)」がいて、ジャックや、ジャックの両親もその1人である。

そして、ジャックの母は「テリトリー」の女王であり、やはり死の床に臥せっている、という。

「テリトリー」の女王を救う方法は、ただ一つ、「タリスマン」を手に入れること。
それはジャックの母を救うことにもなる。

ジャックは、2つの世界を行き来しながら、遥か西の土地(「テリトリー」では辺境の地))にあると言われる「タリスマン」を求める旅に出る。

行く手を阻むのは、ファンタジーでお約束のモンスターは勿論、欲深な居酒屋の店主、歪んだ信念に囚われた宗教者(というより狂信者)など、バリエーション豊か、というか、妙にリアル。
「タリスマン」自体も、その性質の一つに「純粋なもの」という側面があり、「純粋」なだけに「危険」でもあり、それゆえ厳重に閉じ込められている、という点が、個人的なお気に入りポイントの一つだった。

登場するキャラの中で好きだったのは狼男のウルフ。
(この「ウルフ」というのも、それが、この青年の名前であるか定かではない。「自分達の一族」という意味で、「ウルフ」と言っている節もある。)
成り行き上だったが、ジャックの旅の前半の相棒。

ウルフは、ホラーやファンタジーでおなじみの狼男一族で、言葉遣いや行動こそ、乱暴だが、その分を差し引くと、気のいい青年で、おとぎ話に出てくる、ドジな狼を連想させるところもある。

モーガンに追われて、やむなくだったが、ジャックは、自分の世界にウルフを連れてきてしまう。
「テリトリー」でも比較的田舎育ちのウルフに、現代社会は「悪臭」ばかり。
生まれて初めて見るものも、たくさんあり、ことあるごとにパニックに陥ってしまう。

ジャックは、そんなウルフを「お荷物」と思ってしまうが、自分が連れてきてしまった手前、決して口に出さない。
ウルフの方が何歳か年上だが、ジャックは、まるで出来の悪い弟を扱うかのように接する。

だが、ウルフは、その優れた嗅覚で、ジャックの気持ちを敏感に感じ取っていた。
ジャックが思っている以上に、ジャックの気持ちを理解していたのだ。

時たま、ジャックの役に立てる事があった時のウルフの喜びようは、いじらしい、とさえ感じる。
そして、そんなウルフの最大の、そして最後の見せ場は、物語前半のクライマックスでもあり、その結末は・・・。

しばらく、ウルフの、この口癖が頭にこびりついてしまった。
「バッキャロー」

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