小人閑居

「ベストセラー」より「知る人ぞ知る」といった本を紹介していきたいと思います。

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「失敗は成功の基」 分かっちゃいるけど・・・

失敗学のすすめ
  畑村 洋太郎  講談社文庫


「失敗」という言葉から思い浮かべるイメージは?
と聞かれたら、後で笑い話で済む程度の「失敗」
ならばいざ知らず、そうでない場合、暗い、否定的な
言葉を思い浮かべる人がほとんどだろう。

この本は工学の分野での「失敗」を系統立てて
考察している。
が、それ以外の仕事の分野にも十分、通じる。

全体を通じて言っていることは、
「人間である以上、失敗は無くならない。
 大切なのは失敗に正しく向きあい、次に生かす」
ということ。

仕事で失敗すると、周りの人は、当事者を「責任追及」
と「原因究明」のダブルパンチで責めがちであるが、
これでは、これでは失敗を隠す方にばかり向いて
しまう。

「困ります、ファインマンさん」(R.P.ファインマン
岩波現代文庫)に1986年のスペースシャトル
チャレンジャー号の爆発事故の調査委員会での著者
の活動について書かれているが、そこには「何が原因か」
という問いはあるが、「誰の責任か」という問いは
出てこない。
失敗は「恥」や「減点対象」ではなく、直視し、次に
生かすべきものである、という考え方が重要となる。

とは言っても、「わかってはいるけど・・・」というのが
実際のところで、自分の過去の失敗を思い起こす
だけで、かなりツライ。
自分で傷口を開いて、塩を塗りこむようなものだ。
どうしても自己保身的、自己弁護的なものになって
しまう。

これが、業務上の指示だったら、さらにツラい作業
だったろう。
「原因究明」を当事者が行うにせよ、第三者が行う
にせよ、「責任追及」は別、とする姿勢を徹底させる
べきだろう。
海外の企業では、失敗情報を聞き取る専任の担当者を
置く例もあるという。

失敗を次に生かすためには、情報を集めるだけでなく、
集めた情報を「知りたい人」が「知りたい時」に
「知りたい中身」を「欲しい形」で手に入れられる、
環境を作って、はじめて利用される。

ただし、環境を作ってもそれを生かすことができるかは、
個人の資質にかかってくる。
本当のベテランは、失敗情報から得た知識や、自分
自身の体験をベースに知識を吸収する。
そして、実際に失敗が起きた時でも、小さいうちに
対処できる。
が、そうでない者は、失敗が起きた時、思考が停止し、
失敗を成長させてしまう。
致命的な失敗になるのは、このようなケースがほとんど
だという。
マニュアルに忠実な人ほど、このようになりやすい
らしい。

本書では、失敗を積極的に公開することが企業の利益
になるような制度も提案している。
株の含み損ならぬ、潜在的な失敗を「含み損」として
計上するなど面白い。
大切なのは、「失敗を肯定する」ことである。

失敗を起こさない、ではなく、どこかで必ず失敗は
発生する、という覚悟が必要だ。
大切なのは、失敗が起きても思考停止せず、適切な
対応を行い、失敗を成長させないことなのだ。

ただし、決して失敗をしない方法が一つだけある。
それは「何もしない」こと。
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