小人閑居

「ベストセラー」より「知る人ぞ知る」といった本を紹介していきたいと思います。

Articles

月日は百代の過客にして・・・

雪豹
 ピーター・マシーセン  ハヤカワ文庫



雪豹。

灰白色の体毛に豹らしい黒の点々。足はがっしりしていて、
尾も太くて長い。
高原、高山地帯に棲息する非常に珍しい動物。

そういう予備知識があるせいか、どこか神秘的な顔にも見える。

ちなみに日本のいくつかの動物園でも飼育されている。
雪豹のためだけでも見に行きたくなった)


1973 年、著者はヒマラヤアオヒツジの生態調査へ同行する、
ということでヒマラヤ山中に入る。
これはこれで事実だが、もう一つ、雪豹を観察する、という
裏の目的もある。

前半部分は雪豹が生息する地域へ行くまでの旅の様子が
描かれる。
著者は、ニューヨークの禅堂で修業をしたことがあるため、
その旅の様子は、まるで巡礼の旅のようだ。
(しかも目的地には古い仏教の寺院もいくつかある)

前半だけを読むと、まるで目的地は寺院で、そこへ辿り着く
までの時間を利用して、自己を見つめなおす修行をしている
ようだ。

想像でしかないが、圧倒的な自然の力を見せ付けられた後、
自分には、どれほどの力があるか、を考えると、禅の修業を
していなくても自分について考えたくもなるだろう。



実のところ、この旅の中では、ヒマラヤアオヒツジの生態調査
はうまくいくが、雪豹には遭遇できていない。
痕跡は、いくつも見つけるものの、直接、観察しようとすると、
毎回、裏をかかれてしまう。
「そう簡単に姿を見せてやるものか」と言わんばかりである。

だが、雪豹を観察したいと手を尽くすと同時にどこかで、観察する
ことにより雪豹の神秘的なヴェールをはいでてしまうのではないか、
と恐れているような節もある。

最後の方にはこう言っている。
「見ないものがあるほうが、きっといいのかもしれない」


・・・前言撤回。
動物園に雪豹を見に行くのはやめておこう。
スポンサーサイト

Paging Navigation

Navigations, etc.

About This Website

/