小人閑居

「ベストセラー」より「知る人ぞ知る」といった本を紹介していきたいと思います。

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見聞録

岸辺露伴は動かない
 荒木飛呂彦
  集英社


「ジョジョの奇妙な冒険」第4部の登場人物、岸辺露伴。
その露伴が見聞き、もしくは自身が体験した奇怪な物語。

「懺悔室」
「六壁坂」
「富豪村」
「密漁海岸」
「岸辺露伴 グッチへ行く」
の5編から成る。

岸辺露伴の職業はマンガ家。性格はワガママ、エゴイスト(「超」が付くほど)
スタンド(超能力が具現化したもの)能力者で、スタンドの名前は「ヘブンズ・ドアー」
人間や生物を読み書きできる本のようにする能力を持ち、本になった相手の情報を読み取ったり、新たな事項を書き加えて、相手の行動を操る事ができる、という設定。

「懺悔室」は文庫版の「死刑執行中脱獄進行中」にも収録されて、「岸辺露伴 グッチへ行く」は雑誌「SPUR」2011年10月号の付録に掲載された作品。

全てのエピソードは露伴が体験した話ではあるが、主に「語り部」としての役割のみで、根本的な解決のための活動はしない。
その意味で「動かない」というタイトルにもなっている。

お気に入りのエピソードは「六壁坂」と「富豪村」

「六壁坂」は露伴が出会った「妖怪」の話。
この土地に伝わる妖怪伝説を取材に来た露伴。
彼が出会った妖怪は、人の罪悪感につけ込み、自身の世話は人間にやらせ、子孫を残す事だけを目的とした妖怪だった・・・。
ここまで極端でないにしろ、こういう事をする人間がいそうで、読んだ後、なんとなく落ち着かない気分にさせられる。

「富豪村」はマナーの話。
ある年齢になった時、とある村の土地を購入し、住むと社会的成功が約束される、という不思議な村。

露伴の担当編集者は、その村の1区画が売りに出された、というニュースを知る。
そこで、露伴のマンガのネタと自身の未来のために、1区画を買う事を決心する。

が、その村は異常なまでに「マナー」を気にする村であった・・・。

印象に残ったのは、露伴と女性編集者の案内役の
「『マナー』は『正しい』か『正しくない』かのどちらか。寛容はございません。」
というセリフ。

マナーだけでなく、他の複雑な問題であっても、二者択一の問題にしてしまい、自身の意見とは異なる者に対しては不寛容、という人は掃いて捨てるほどいる気がする。
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栄光なき変人たち

変人偏屈列伝
 荒木飛呂彦・鬼窪浩久
  集英社文庫



「ジョジョの奇妙な冒険」の荒木飛呂彦が選んだ変人・偏屈者の6エピソードから成る。

取り上げられたのは次の6人。

タイ・カッブ
      ・・・メジャーリーグ史上、最も偉大かつ最も嫌われた選手
康 芳夫
      ・・・自称「虚業家」
メアリー・マロン
      ・・・「腸チフスのメアリー」と呼ばれた人物
サラ・パーディ・ウィンチェスター
      ・・・館を増築しつづけ、不可思議な間取りの建物を作り上げる
ホーマー&ラングレー・コリヤー
      ・・・元祖ゴミ屋敷&引きこもり兄弟
ニコラ・テスラ
      ・・・エジソンのライバルと呼ばれた男

この人選を見るだけでも荒木飛呂彦らしさが滲み出ている。
それぞれかなりクセのある人物だが、ホーマー&ラングレー・コリヤーにいたっては「何もしていない」のに取り上げているのが面白い。
(ゴミ屋敷、引きこもりの元祖のような兄弟ではある)

荒木飛呂彦自身、変人偏屈列伝にリストアップされてもおかしくない気もする。


この人達の行動の根本にあったものは何だったのだろう。

法を犯したわけではない。
つまるところ、自分の「仕事」に熱心であったにすぎない。
(熱心すぎた、とも言えるが・・・)

周囲の人を困惑させたが、意図的に傷つけようとした事はない。
(自分の「我」を貫き通したために、結果的に傷ついた人はいたが・・・)

誰でも自分を中心に物事を考えてしまうが、多くの人は、その途中で周りとの関係を考え、少しずつ「修正」していく。
それでも「修正」をせずに、そのまま突き進もうとする人はいる。それも少なからずの人が。

そういう人達と本書で取り上げられた人達とは、どこが違うのだろう。

突き進もうとするパワーと方向が、多くの人が許容範囲とする中からはみ出しているだけでしかないような気がする。

彼らの行動の結果は眉をひそめるものが多いが、それでもどこか共感を覚えるのは、程度の差こそあれ、誰にでも同じ事をする要素を持っているからだろうか。
・・・とすると、つい使ってしまう「普通」というのは何だろう?

「癒し」の映画

荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論
 荒木飛呂彦  集英社新書


「ワンピース」をネタにした「ONE PIECE STRONG WORDS(上下巻)」は、かなり売れているらしい。
「こち亀」の秋本治の「両さんと歩く下町」も同じ集英社新書から出ている。そして、荒木飛呂彦の書いた本書も出版された。

「ジャンプの人気漫画家に本を書かせよう」シリーズが始まったのだろうか。

尾田栄一郎・秋本治・荒木飛呂彦に本を書かせれば、ネームバリューだけでもヒット間違いなし、と思ったかどうかさだかではない。
「流行りモノは、とりあえずスルー」がポリシーだったが、「荒木飛呂彦」の名前にひっかかってしまった。

3人を「陰」と「陽」に区別するとしたら、荒木飛呂彦は「陰」で他の二人は「陽」に分類できるだろう。
暗くて狭い所が大好きなので、荒木飛呂彦の本に惹かれ、本書を手に取った、と言えば聞こえはいい(?)かもしれないが、集英社の思う壺にハマッただけとも言える。


荒木飛呂彦はホラー映画が好き、というのは知らなかったが、さもありなん、という感じがする。
「ジョジョの奇妙な冒険」は3部までは読んでいたが、1・2部は「吸血鬼」「ゾンビ」などがモロに出てくるし、3部はいろいろな映画を下敷きにした話が多かったからだ。

ちなみに荒木飛呂彦と聞けば、多くの人は「ジョジョの奇妙な冒険」を思い浮かべるだろうが、個人的には「バオー来訪者」が一番好きだった。
そういえば、こちらも「恐怖」を扱っていた。

ホラーと言えば、ゾンビや幽霊、殺人鬼がお約束で、それらが登場する映画も数多く紹介されているが、それだけではない。

著者の考えるホラー映画は
「見る人が恐怖するしかないような状況を描く映画、それを目的として救いのない状況を突きつけてくる映画」
というものらしい。
そのため、一般的には「ホラー映画」には分類されないような映画も含まれている。

さらに著者はホラー映画は「癒し」の要素も含まれていなければならない、と言う。
「恐怖」を直接的には害のない形で表現することによって、「予行演習」を行うもの。

「恐怖を通して現実世界の不安からひと時の解放をもたらしてくれるもの」がホラー映画だと言っている。

ここまで愛情たっぷりに論を展開されると、少しだけでもホラー映画を見てみようか、という気になってくる。
なにより暑い日にはよくあいそうだし・・・

どっちもどっち

魔少年ビーティー
   荒木飛呂彦  集英社文庫


「ジョジョの奇妙な冒険」で有名な荒木飛呂彦の連載デビュー作品。

主人公ビーティー(イニシャル。一説には「コブラ」の寺沢武一の
略だとも言われている)が手品やトリックを使って、「悪人」と
対決する。

ただし、ビーティー自身も「聖人君子」ではなく、頭はいいが、
かなり傲慢な性格(腕力は、あまりない)
顔つきは「ジョジョの奇妙な冒険」の第1部に出てきた小さい頃の
ディオを彷彿とさせる。

ビーティーの親友が事件が起きてしばらく時間が経過したものを
選んで、事件についてすべて語る、というスタイルで話が描かれる。
(作者曰く「シャーロック・ホームズ」へのオマージュ)

作者自身も語っているが、これの対極にある「力」と「力」の戦いが
「バオー来訪者」。なお、別の作品「ゴージャス・アイリン」は、
「力の戦い」+「知力の戦い」という感じになっている。

あとがきにもあるが「少年ジャンプ」の精神(努力・根性・友情)と一致する
ところが全く無いマンガだったので、一時は連載すらさせてもらえない
かもしれない、という事にもなったらしい。

連載当時、リアルタイムで読んだ覚えがあるが、他の連載マンガと
かなりテイストが異なるこのマンガは、かなりインパクトがあった
のを覚えている。
ちなみにこの頃から独特の「ギャーン」などの擬音は全開である。
(そういう意味でもインパクトはあった)

今、少年ジャンプで、このマンガを掲載したら、一体、どんな反応が
起こるだろうか?
きっと親から苦情が山のように来る気がする。その様子を見てみたい
ような、見たくないような・・・

ようこそ、来訪者

バオー来訪者  荒木 飛呂彦
  集英社文庫


「ジョジョの奇妙な冒険」の作者の過去の作品。

連載は週刊少年ジャンプの人気がないマンガが辿る道を
通って行ったが、少し調べてみると当初から長期の連載
は考えていなかったらしい。

確かにタイトルにもある「来訪者」は、クライマックス
に関わってくる言葉であるため、連載開始時点で(少なく
ともある程度は)最後の展開を考えてあったはずである。

また、設定上も主人公に寄生している「バオー」は、
百数十日で成虫になり、卵を生み、世界中に伝染する、
という事になっているので、長期連載はやりにくい話
である。

研究中の生物兵器の実験台にされた主人公が、特殊な
能力ゆえに同じように実験台にされている少女と逃避行
を続け、やがて、未来の為に追ってくる組織と戦うこと
を決意する、というのがあらすじ。

変身ヒーローものというくくりで見ると、典型的な
「巻き込まれ」型である。
また、バオーの能力も冷静に考えるとムチャであっても
一応、筋道の通った説明がされるため、ハードSF的、
とも言える。

ラストは、一見、希望を残した終わり方のように見えるが、
よく考えると哀しい最後であることも、ツボを突いている。
(個人的にこういうパターンが好きなもので)


最近、かつての人気マンガの続編がヒットしているが、
「バオー来訪者」の続編、というのはやめてほしい。
作者自身も「完結した話」と考えているし、そもそも
かなりマニアックな話であるので、心配するまでもない
気はするが・・・

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