小人閑居

「ベストセラー」より「知る人ぞ知る」といった本を紹介していきたいと思います。

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シュール&ブラック

アタゴオル 外伝Ⅱ ヨネザアド物語
 ますむら・ひろし
  メディア・ファクトリー文庫


アタゴオル物語以前に描かれたシリーズ。

ヒデヨシ、テンプラ、ギルバルス、パンツなど後にアタゴオル物語に出てくるおなじみのキャラも登場するが、その役回りや見た目はかなり異なっている。

ヒデヨシはアタゴオル物語より、かなりまともな性格、テンプラはヒゲをはやした老け顔(映画「明日に向かって撃て」でロバート・レッドフォード演じるサンダンス・キッドがモデルらしい)
パンツは、ほとんど「その他大勢」の一人(いや一匹)、ギルバルスは、かなり悪人顔になっている(名前も違っている)

後のアタゴオル物語に通じるようなエピソードもあるが、全体としてシュールでブラックな話が多い。
また登場するキャラも、どこか水木しげるの描いた妖怪を思わせる絵柄が多い。

中でもネコが人間の抹殺に立ち上がるという話の「霧にむせぶ夜」「理科室の地下で」の2本は特にブラックさが際立つ。
また、この2編より、かなりマイルドになっているが、「星ふる夜の天使たち」でもネコと人間が争う。

あとがきにも書いてあるが「ネコが人間を滅ぼす」というテーマはかなり強かったのだろう。
作品中、人間の身勝手さを糾弾するネコ達の言い分には思わず身がすくむ。

当時の公害問題を背景にしていたのだろうが、それを「環境問題」という言葉に入れ替えても、ネコ達の糾弾の言葉は、そのまま突き刺さる。

マンガの中のネコ達は、ついに立ち上がるが、現実のネコ達には、人間に対して、せめて「執行猶予」をつけて欲しい。
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隠喩!?

アタゴオル 7
 アタゴオル玉手箱篇
  ますむら・ひろし
   スコラ漫画文庫


この巻の中の「キリエラ戦記」についての感想。

大きな力を持つ「キリエラ」を巡り、ヒデヨシ達と銀波船長率いる海賊たちが繰り広げる戦いが描かれている。

他の一話完結の話と比べると、ブラックな内容。
ダークファンタジーは、結構好きなジャンルなので、「キリエラ戦記」のような話は割りと好み。

これの前に読んだのが、「アタゴオル外伝 ギルドマ」 で、こちらもブラックな内容だったが、ヒデヨシ達と敵対する相手は「人間」ではなかったため、寓話的な色彩が強かった。
が、キリエラ戦記では、敵対するのは銀波船長という「人間」のため、リアルさ、というか生々しさを強く感じてしまう。

特に印象的なのは、「キリエラ」と双璧をなす「網樹(もうじゅ)」に取り込まれた後の銀波船長とテンプラのやりとり。

銀波船長:(大量の土や植物を食い荒らし、独自の生命体を生み出す「網樹」を指して)
       「網樹こそ文明そのものなのさ」
テンプラ:「自然を食い荒らす網樹は必ず滅んでしまうぞ」
銀波船長:「この星の自然を食い尽くしても、網樹はそこで滅ぶ程、未熟な文明じゃないんだ。
       この星を覆いつくした網樹を母体としながら、新しい生命循環を続けていくのさ」
テンプラ:「自然が消えても生き続けるなんて、まるで死の文明だな」
銀波船長:「そうとも・・・。永遠に続く死の文明なのさ」

最近のニュースなどの影響を受けた上での解釈だが、「網樹」は、どうしても「アレ」の事を連想させる。

「網樹」の動力源(らしい)ものは「熱の光」
この「熱の光」、中身は誰も知らないが、普段は街の動力源として使っているもの。
ご丁寧に、このエネルギーを「兵器」として使えば、一発で山を吹き飛ばしてしまうほどの威力を持っている、という設定。

そして「キリエラ」は、物質を形作る「旋律」を操る能力を持つハーモニカ。

「キリエラ」「網樹」「熱の光」の3つは、同じ文明が作り出したもので、その文明自身は大昔にすでに滅んでいる。

やはり「アレ」の隠喩、としか思えない。

ラストに救いはあるものの、いつになくブラックな内容だった。
(「アタゴオル」を全巻、読んだわけではないが)

アタゴオル、よいとこ一度はおいで

「アタゴオル アタゴオル玉手箱編 ⑤」
 ますむら・ひろし  メディア・ファクトリー


ますむら・ひろしのライフワークとも言える「アタゴオル」シリーズ。

猫と人間が同じ言葉を喋るヨネザアド大陸のアタゴオルという森が舞台の物語で、トラブルメーカーである「ヒデヨシ」が主人公。
ちなみに「ヨネザアド大陸」は「米沢市」、「アタゴオル」は「愛宕」がネーミングの由来。
このあたりは、宮沢賢治の「イーハトーブ」を意識しているのだろう。

「アタゴオル」シリーズを読み始めたのは、宮沢賢治の作品をマンガ化したシリーズをきっかけ。
ただ、一話(から数話)完結のエピソードが多いので、特に発表された順に読んでいるわけではない。

今まで読んだのは、アタゴオル1巻、2巻。外伝(ギルドマ)
そして、今回の「玉手箱編」の5巻で4冊目となる。

アタゴオル1、2巻では、不思議なエピソードの中にも不気味な要素があったり、外伝(ギルドマ)は、比較的、ブラックな内容だったりしたが、
この「玉手箱編」の5巻は、ほのぼのとした(そして不思議な)エピソードばかりだった。

いつも出てくるレギュラーメンバーの中で、登場しないのは、ギルバルス。
「アタゴオル」シリーズで唯一(?)、「かっこいい」キャラで、不思議な「力」を持つ、ヒーロータイプのキャラだが、危害を加えそうな輩が
出てこない平和な(5巻を読んだだけだが)「玉手箱編」では、出番がないのだろう。

その代わりだろうか、ギルバルス同様、不思議な「力」を持つ、ツキミ姫が登場する。


ところで、印象に残ったエピソードは、次の2本。
「I call your name」
 ヒデヨシが食べると動物でもしゃべれるようになるバナナを友達の象のサスケに食べさせるエピソード。
 サスケの第一声が・・・

「ちょっかいづる」
 目新しいものを見ると生えてきて、うるさい事を言う「ちょっかいづる」。それをだまらせる方法とは?
 「ちょっかいづる」の設定がなんだか笑える。

ちなみにウィキペディア情報によると、東武野田線沿線のどこかの自販機の隙間にアタゴオルへの秘密通路があるらしい。
ここだけでなく他にも近所の自販機の隙間とかにも通路は、あるのだろうか?

トリックスター

アタゴオル 外伝 ギルドマ
 ますむら・ひろし
  メディアファクトリー文庫


宮沢賢治の作品をマンガ化したシリーズでますむら・ひろしに
興味を持ち、「アタゴオル」を読み始めてみた。

アタゴオルの西に広がるギルドマジャングル。
そこに現れた植物女王ピレア(ヒデヨシが復活させてしまう)に
立ち向かうヒデヨシ、タクマ、ギルバルス。
そしてピレアが恐れる輝彦宮。

「アタゴオル」シリーズは、1,2巻しか読んでいないが、この
「外伝」はかなり雰囲気が異なっている。
死んでしまう者がいたり、皮肉な表現も出てきたりするのだ。

例えば、

「規律の外に出ることは怖いことなんだ。
 規律の中に入っていれば、「自分」などなくてもいいからな」

というセリフや

ピレアの旗に頭を下げる森の住人達。その旗をヒデヨシの顔に
描きかえても、それに頭を下げ続ける森の住人達。

というシーンがあるなど、結構、痛烈だ。

が、登場人物がネコやよく分からない生き物だったりするので、
皮肉も少し和らいだ感じになる。


ヒデヨシは、作品中で
「身勝手がふくらんだような物体」
「物の道理や呪術も通じない」
「自分しかない男」
と評される典型的な「トリックスター」である。

メチャクチャな事をやっているが、それを描く事で逆に本質を
炙り出す。そういうキャラクターというのは好きなので、他の
巻も読んでみたい。

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