小人閑居

「ベストセラー」より「知る人ぞ知る」といった本を紹介していきたいと思います。

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ロケットボーイズ

栄光なき天才たち 宇宙を夢みた人々
 作:伊藤智義
 画:森田信吾
  講談社漫画文庫


才能はありながらも、運に恵まれなかったり、時代よりも先に進みすぎていたために歴史の中に埋もれていった人物たちを描いたマンガ。
その中でロケット開発の黎明期に活躍した人々を扱ったのが本書。

惑星間飛行理論の創設者、C・E・ツィオルコフスキー(ロシア)
液体燃料ロケット研究の先駆者、R・H・ゴダード(アメリカ)
ドイツ、ロケットブームの火付け役、H・オーベルト(ドイツ)
V2号、アポロ計画のW・フォン・ブラウン(ドイツ→アメリカ)

本書では、この4人が描かれている。
原作者あとがきにもあるが、本来ならば、この4人の他にもう1人、ソ連(当時)の黎明期のロケット開発指導者、セルゲイ・コロリョフも含まれるはずだったが、編集側の都合で「幻のエピソード」となってしまったらしい。

「栄光なき天才たち」ではロケット開発に関わった人だけでなく、学者やスポーツ選手、作家に実業家など、様々な「天才」たちも描かれている。
このマンガが大好きだったので、他に印象的な人物を挙げていくとキリがないので割愛。

「栄光なき天才たち」を読むようになったのは、この「宇宙を夢みた人々」のシリーズからで、同時に一番のお気に入りのシリーズだった。

タイトルに「栄光なき」とあるくらいなので、描かれる人物たちのほとんどは悲しいラストを迎えるが、例外的に「宇宙を夢みた人々」は最後には報われるパターンが多い。

ロケットは宇宙開発に利用されるが、同時にミサイルにも利用されている。
当初、牧歌的でさえあったロケット研究の性格が大きく変わるのは第2次世界大戦から。

フォン・ブラウンが開発したV2号(大陸間弾道ミサイルの祖)によるロンドン爆撃。
V2号に核爆弾を搭載する予定だったものの、実現しないうちに第2次世界大戦は終結。

そして、ドイツからアメリカに亡命したフォン・ブラウンは、ようやく「兵器」でなく、ロケット研究ができる、と思ったが、今度は「米ソ宇宙開発競争」という”政治”に翻弄される。
が、フォン・ブラウンは「米ソ宇宙開発競争」を逆に利用して、ついにアポロ計画を成功させる。

ゴダードのエピソードでは、戦争でロケット研究が中断していた間にドイツに先を越されてしまい、焦るゴダードとその助手がロケットを兵器に転用することについて大激論を交わすシーンがある。
助手  :「博士、我々の研究は人殺しのためですか!?」
ゴダード:「もし私が爆弾ロケットを作らなくても誰かが必ず作る!同じ事じゃないか!」
助手  :「ちがいます!
      私は”あなた”に聞いているんです。
      博士!
      ”あなた”はどうするんです!?」
ゴダード:「・・・・」
現実にこのようなやりとりがあったのか、マンガの演出上のものかは分からないが、ロケットの2面性についての普通の反応は、こちらのような気がする。

ちなみにゴダードについては「サイエンス・アドベンチャー」(カール・セーガン(新潮選書))の「サクラの木経由、火星行き」というエピソードでも語られている。
(このエピソードのために、この本(サイエンス・アドベンチャー)を買ったと言ってもいいほど)

フォン・ブラウンのどんな事でも利用して夢を実現させようとするパワーの源泉は、何だったのだろう。
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夜空ノムコウ

「栄光なき天才たち
  宇宙を夢みた人々」

 講談社漫画文庫

 作:伊藤 智義  画:森田 信吾



当作品は「週刊ヤングジャンプ」に、1986年から1992年にかけて
連載された作品。

タイトルに「栄光なき」とあるので、想像できるかもしれないが、
存命中は、評価されなかった人物達を取り上げている。
その性格上、どうしても悲しいエピソードが多いが、このロケット
開発の話は例外的にラストで報われる、というパターンが多い。


シリーズを通して、特に好きだったのが、このロケット開発の先駆者
たちの物語である。
これらの話をきっかけに「栄光なき天才たち」にハマっていったと
言っていいくらいだ。



「凡人」
というのは、裏を返せば
「どの能力もだいたい平均値で、バランスの取れた人間」
で、
「天才」
というのは
「何かが欠けたために、他の能力が異常に発達してしまった人間」
ではないか。

世の中、「天才」という言葉を簡単に使うが、「天才」が本当に
いいのか。

このシリーズを読んでいたためか「天才」という言葉に若干、否定的な
意味を感じるようになった。



紹介される科学者たちに共通するのは、底抜けに楽天的。
いつも夜空を見上げて、目をキラキラさせているような感じだ。

ただ、初期の頃は、牧歌的でさえあるのだが、やがて、ロケットの
持つ二面性に嫌でも気づかされることになる。


宇宙へ行く手段であると同時に核弾頭を運ぶ手段でもある、
ということ。


その現実に躊躇する者、その現実を理解した上で、夢を実現する
ために利用する者。
どちらが正しい、というものでもないが、自分ならいつまでも
悩んでいることだろう。


あとがきにもあるが、作者が心残りなのは、ドイツから旧ソ連に
ロケット技術を伝えた人の話もあったのだが、ページ数の関係で
他のエピソードに吸収されてしまった事と旧ソ連のロケット研究者
コロリョフの話が抜けてしまった事。

前者は作者のHPに原案が掲載されており、後者は連載時には、
旧ソ連の国家機密ということで名前さえ公表されていなかった、
という事情があるそうだ。


ちなみに探査機はやぶさの目的地「イトカワ」の名前の由来とも
なった糸川英夫博士は、アポロ計画のリーダーであるヴェルナー・
フォン・ブラウン博士と同年の生まれである。


同じような時期に同じような才能の持ち主が現れる、というのも
不思議な感じがする。

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