小人閑居

「ベストセラー」より「知る人ぞ知る」といった本を紹介していきたいと思います。

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暗号解読  サイモン・シン 新潮文庫


「暗号」とだけ聞くと戦争を含めた外交やスパイ活動などを
思い浮かべ、あまりいい印象をもたない人が多いだろう。

が、暗号を解読する過程でコンピュータが生まれ、インター
ネットが一般的になったので、誰もが、それと意識せずに
暗号のお世話になっている。

この本は暗号作成者と暗号解読者の戦いを通して描いた暗号
の歴史である。「解読」つながりで、古代文字の解読の歴史
にまで触れている。

古くは「シーザー暗号」
その発展型の「ヴィジュネル暗号」
第2次世界大戦時にその名を轟かせた暗号機「エニグマ」
ネット時代になって広く使われている「公開鍵暗号」
そして理論的には解読不能の「量子暗号」

これ以外も暗号はあるが、どの暗号も一時は”解読不能”と
思われたが、暗号解読者達の前に次々と屈していった。

皮肉なのは暗号機「エニグマ」で作成された暗号は、かなり
安全性が高かった。
だが、使用方法に問題があったため、解読の手がかりを与えて
しまったのである。



理論的に解読不能な暗号は「ワンタイム・パッド暗号」
(どうしてそうなのかは説明がないが、証明可能らしい)

これは使い捨ての暗号化鍵を使う方式だが、最大の問題は、
暗号化鍵を大量に用意しなければならない、という点。
しかも、その暗号化鍵はランダムでなければならない。
(ついでに忌々しい事にその鍵がランダムかどうかは
 証明不能)



現在、広く使われているのは「公開鍵暗号」
だが、これも「素因数分解を行う方法に近道はない」という
点に依存している。
量子コンピュータの開発などコンピュータの性能が飛躍的に
アップするか、素因数分解の近道が見つかると役に立たなく
なってしまう。


そして、「究極の暗号」として紹介されているのが、
「量子暗号」
というもの。
これは「ワンタイム・パッド暗号」の暗号化の鍵に量子論を
応用しよう、というものである。


本の中では、これこそ暗号の決定版、として紹介されている。
が、個人的には「暗号」(というか「セキュリティ」という
もの全般)は自己矛盾を抱えている、と思っている。

「読み手」がいる、という時点で何かしら読む方法はある
のだ。
例えば、理論的に解読不能であっても、送信者か受信者を
見つけて、締め上げる、という方法もある。
(費用が見合うかは別として)

「完全無欠」の暗号があるとしたら、それは送信者も受信者
も読めないものだろう。
だが、それはもはや「暗号」ではない。
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