小人閑居

「ベストセラー」より「知る人ぞ知る」といった本を紹介していきたいと思います。

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笑う門には福来る

いつも上を向いて
 マイケル・J・フォックス
  ソフトバンク・クリエイティブ


マイケル・J・フォックスは、1998年にパーキンソン病である
事を公表し、2002年(日本語版は2003年)に「ラッキーマン
を出版。
その本では、パーキンソン病と診断されてから、その後の苦悶
の時期、そしてレギュラー出演していたテレビ・ドラマの降板
までが描かれていた。
(その時の感想はコチラ

それから7年。2009年(日本語版は2010年)に「ラッキーマン」
出版後から現在までの事を描いた本書が出版された。

タイトルの「いつも上を向いて」には、2つの意味が込めている、
と著者は言う。
一つは、著者の置かれた状況を考えれば、説明するまでもないが、
もう一つは著者の身長(165cm)のため、人と話す場合、大抵、
見上げなければならないためだからだ。

こういう事からも想像できるだろうが、やたらと明るいのである。
著者はパーキンソン病患者のための活動をしている健康な人だと
思いかねないほどだ。

自叙伝ではあるが、時系列的には並んでおらず、4つのテーマに
ついて語っている。
「仕事」
「政治」
「信仰」
「家族」
この4つが著者の人生の支持基盤である、と言っている。

「仕事」は、ドラマ降板後、パーキンソン病の治療方法の研究
助成のための財団(マイケル・J・フォックス財団)設立に
関わる話がメインとなっている。

「政治」は、パーキンソン病の治療に有効と思われる幹細胞研究
に対して当時のブッシュ大統領が拒否権を発動して、研究を凍結
したため、2006年の中間選挙で幹細胞研究推進派の候補者を応援
して各地を回った時の話である。
この時、候補者応援のために出演したテレビCMで騒動が起きて
しまう。
病気について何も知らないくせに「あれは演技だ」と非難する
人物が現れたのだ。
(こういう人は洋の東西を問わずいるものだと痛感した)

ただ、著者はこの批判に真正面から対抗するのではなく、注目を
浴びた事を逆手に取って、パーキンソン病の症状や治療方法の現状
についての説明を繰り返したのは、さすがと感じた。

「信仰」の部分は、この本の中で一番、分かりにくかった部分だ。
これは単に自分が「信仰」とはほど遠いからに他ならない。
「信仰」を「文化」と読み替えて、なんとなく雰囲気が分かった
という感じだった。

「家族」は、パーキンソン病の事と一番、関係がありそうだが、
実際に言葉としてはほとんど出てこない。
何も知らずにこの章だけ読んだら、家族の絆について語っている
と思うことだろう。

それにしても著者のこの明るさは何なのだろう。自分の病状をネタ
に冗談まで言うほどだ。

「ラッキーマン」で、いきなり今のような境地に至ったわけでは
ないことを書いているし、本書の中でも病気を宣告されてから
こういう(楽観的な)資質があることに気がついた、と言って
いるが、今の自分には想像もつかない境地である。

著者本人の性格も一つにはあるだろう、家族や友人の支えや、
医師のサポートもあるだろう。
なにより、そういう境遇になれば、人は強さを持つものなの
だろうか。


話は変わるが、マイケル・J・フォックス財団は「パーキンソン病
治癒の方法が見つかれば、仕事は終わり」らしい。
変な言い方になるが、この財団が解散する日が近い事を願う。
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この記事へのコメント

ラッキーマンは、ややポジティブすぎる感じもありましたが、
病と向き合う姿勢には共感させられたものです。

私も、現在は無症候ですが進行すれば面倒な病を持っており、
そのつながりで得たものもございまして、
著者の気持ちも少し分かるような気がします。

ただ、同病の中には、自分を大っぴらにマイケル・J・フォックスに
なぞらえている困ったちゃんな患者もいるんですよねぇ・・・(笑)。

  • 20100505
  • 瑞閏 ♦lp29RAY6
  • URL
  • 編集 ]
こんばんは

(今のところ)面倒な病を抱えていないので、こういう境地は
想像するしかないのですが、瑞閏さんも共感する部分がある
のですね。
以前、読んだ「火星の人類学者」(オリバー・サックス著)でも
患者さん達は、口々に同じような事を言っていました。

> ただ、同病の中には、自分を大っぴらにマイケル・J・フォックスに
> なぞらえている困ったちゃんな患者もいるんですよねぇ・・・(笑)。

・・・やっぱり、という気がします。
せめて、害のないレベルで収まっていて欲しいですね。

 こんばんは!!!
私にとってマイケルはやはり「バック~」の俳優さんですね。大好きな映画で全シリーズ見ています。その彼の病気を知った時は衝撃でした。
 私はメンタルを持っているのでマイケルの気持ちは若干理解出来る部分があります。
 やはり強くなければ生きてはいけないからだと思います。自分も心を病んでこれ程我慢強く、自分は強さを持っていたのかと気づかされました。
 恐らくこの境地に辿り着くまで地獄のような苦しみを味わったのではないかと推察します。
 ともすればその暗闇に飲み込まれる人もいますが、光のある方向へと進まれたマイケルには心からの賞賛を送りたいです。

こんばんは

アメリカではテレビドラマの方で有名らしいですが、日本では、
やはり「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のイメージが強い
と思います。
自分も "マイケル・J・フォックス" と言えば、「バック~」
を連想します。

パーキンソン病と宣告されてから、そのことを公表するまでは
随分、荒れた、と「ラッキーマン」で告白していますが、立ち
直れる力のあった本人、及びそれを助けた周囲の人達に拍手
したいです。

誰もが彼のようになれるとは限りませんが、"0"と"1"は、
大きく違うと思います。
(しかもその "1"は、世間の注目をかなり集める人物)
その意味で、マイケル・J・フォックスの果たしている役割
は大きいと考えます。

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