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アイデンティティとは? 

くらやみの速さはどれくらい
 エリザベス・ムーン ハヤカワ文庫


自閉症が治療可能になった未来。ただし、その治療法は
幼児期に施さないと意味がない。
主人公は、その治療方法が開発される前に成人した、
自閉症者の最後の世代。

そういう人達を雇用すると、その割合に応じて優遇税率
が適用される、という法律があるという事と、他人との
コミュニケーションがある程度まで普通にできるような
治療法が確立されている事と、なにより主人公本人が様々
な現象の中からパターンを見出すことに特異な才能を持っ
ている事から、それを利用したいと思う企業で働いていた。

自分の仕事に誇りを持ち、趣味のフェンシングを楽しむ
日々だったが、ある日、上司から成人した自閉症患者を
治療する画期的方法の実験台になることを迫られる・・・

裏表紙には "21世紀版「アルジャーノンに花束を」"と
書いてあるが、治療による変化は話の中心ではなく、
大半は、主人公が日常の出来事を語っている。
(ちなみに解説によると著者の長男が自閉症であるが、
 別に彼がモデルという訳ではないらしい)

印象的なのは、治療を受けるか悩む場面だ。
医者は、安心させるために「何も変わらない」と言うが、
「自閉症でない自分」になる以上、「何も変わらない」
事はありえない。
同じ症状の仲間は自閉症は、自分の一部であり、それが
なくなってしまうことは、自分のアイデンティティの
一部が無くなることだ、と悩む。

ちょうど少し前に読んだ神経学者のオリバー・サックスの
「妻を帽子と間違えた男」や「火星の人類学者」、
マイケル・J・フォックスの「ラッキーマン」や「いつも
上を向いて」で「病気は自分のアイデンティティの一部」
といった意味のことを言っていたのが重なる。

そして、もう一つ印象的な事。
話の中の設定で、主人公は、一般社会でも他の人と
(ある程度まで)一緒に暮らせるように、治療を受けている、
という設定になっているが、考える事とか似ている部分が
あった。
ふと誰がどのようにして、正常とそうでない事に境界線を
ひいているのだろう、と思ってしまった。
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カテゴリ: エリザベス・ムーン

テーマ: 読書感想 - ジャンル: 本・雑誌

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