小人閑居

「ベストセラー」より「知る人ぞ知る」といった本を紹介していきたいと思います。

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耳をすませば

宇宙から来た72秒のシグナル
  鳴沢真也 KKベストセラーズ



SETI(Search for Extra-terrestrial Intelligence)とは「地球外知的
生命体探査」のこと。

1960年にコーネル大学の天文学者フランク・ドレイクがウェストバージニア
州グリーンバンクのアメリカ国立電波天文台で行った「オズマ計画」が SETI
の最初である。
ちなみにフランク・ドレイクは「地球外文明の数を推定する計算式」を提唱
した人物でもあるので、そちらの方で知っている人も多いと思う。

SETI は、これ以後、アメリカを中心に世界各国で実施されている。が、今に
至るまで、地球外知的生命体からの信号が観測されたという事実は確認されて
いない。

だが、すべての観測が空振りに終わったわけではない。

1977年、オハイオ州立大学の電波望遠鏡が、いて座の方向から通常のノイズ
の30倍もの強さの信号を観測した。
(後にこれは「Wow! シグナル」と呼ばれることになる)

1985~1995年の「メタ計画」(スピルバーグが出資)では、いっかくじゅう座、
うみへび座、カシオペヤ座、いて座に5つの怪しい電波源が発見された。
(通称「ビッグファイブ」)

これらの信号は地球外生命体からの信号と認めるための基準のほとんどを
クリアしていたが、一つだけ、そして最も重要な条件を欠いていた。

それは「再現可能性」

後に同じ方角にアンテナを向けても、信号は観測されなかった。そのため、
未だにこの信号の正体は謎のままである。

SETI は外国で行われているだけではない。2009年11月に日本全国の
30あまりの観測施設が同時に夜空の一点を見つめた。

観測対象となった領域はカシオペヤ座付近。
メタ計画で2番目に強い信号が観測された領域である。
(「さざんか計画」と名づけられた)

この本は、「さざんか計画」のプロジェクトリーダーの鳴沢真也氏(兵庫県立
西はりま天文台・主任研究員)による「さざんか計画」実現までの長い道のり
を綴ったものであり、SETI の歴史を解説したものであり、鳴沢氏の半自伝でも
ある。

大規模なプロジェクトならではの様々なトラブル。それによるプレッシャー。
最大の理解者であった同僚の突然の死。
古参の仲間との仲違い。

さらに追い討ちをかけるように、本番まであと数ヶ月というところで、西はりま
天文台のある街付近が豪雨により死者が出るほどの災害にあってしまう。
天文台自身や街の復興に明け暮れる日々。

被害の大きさに愕然としながらも、街の人の「星を見たい」という一言に
支えられる。
また、支援物資を持って、いち早く天文台に駆けつけてきたのは、仲違いした
仲間だった、というあたりは映画も顔負けの展開である。

SETI の話を抜きにしても、十分、引き込まれてしまう。

このようにして、様々な苦難を乗り越えて実行された「さざんか計画」
2日間のみの観測、ということもあり、有意な信号は観測されなかった。
が、日本各地の多くの観測施設が連携して観測する、という経験が得られた
のは大きい。

今年は冒頭にふれた「オズマ計画」から50周年の記念の年にあたる。
アメリカでの研究会の会合に鳴沢氏が招待されたことがきっかけとなり、
日米合同観測計画「ドロシー計画」が発表された。

鳴沢氏自身は、さらにその後は、世界中の観測施設とも合同で SETI を
行いたい、と考えているらしい。
自分が生きているうちに「その日」が来ることはあるだろうか。
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