小人閑居

「ベストセラー」より「知る人ぞ知る」といった本を紹介していきたいと思います。

Articles

ほんとうのさいわい

銀河鉄道の夜
 ますむら・ひろし  原作:宮沢賢治
   扶桑社文庫


あまりに有名な話であるため、ここではあらすじを紹介
するまでもないだろう。

あとがきに書いてあるが、この話に出てくる星座が天頂
付近にくる時間が20時前後(時刻は物語中に出てくる)
の時期は、ちょうどお盆の時期になるらしい。

お盆の時期は、先祖の霊を自宅に迎え入れる。
つまり生者と死者が交流できる時期である。
だから銀河鉄道には死者と生者が乗っているのだ。

・・・と、これは、あとがきからの受け売り。

この本の特徴的な所は、「初期形」の話も掲載されて
いる点だ。
大きな違いは、最後の方にカムパネルラが突然、姿を
消した後に「ブルカニロ博士」という人物が登場し、
ジョバンニと話をするシーンがある。

ちなみにこちらのバージョンでは、カムパネルラは
ジョバンニの親友というわけではなく、お金持ちの
家の子で、成績優秀かつ心優しい人物なので、
ジョバンニのあこがれの存在、という位置付けに
なっている。
しかも突然、姿を消した後、どうなったかは明確には
描かれていない。


最終形の「銀河鉄道の夜」とブルカニロ博士の登場する
バージョン(初期形と呼んでいる)を同時に掲載して
いるのは、ブルカニロ博士を通して宮沢賢治の思想が
語られているからである。

印象的な事は、ブルカニロ博士のこの言葉
「実験でほんとうの考えとうその考えとを分けてしまえば、
 その実験の方法さえ決まれば、もう信仰も化学も同じ
 ようになる」

このように言う一方で、
「紀元前2200年頃に考えられていた地理と歴史」
についての記述がある本と
「紀元前1000年頃に考えられていた地理と歴史」
についての記述のある本を見せて、その内容の違いを
指摘している。
しかも、それぞれ「証拠」に基づいた説なのである。

「科学的」であっても、いとも簡単に間違った結論を
出してしまう。
(なので、「科学的」だから「絶対に」などという人は
 信用しない方がいいだろう)

ところでブルカニロ博士であるが、最終形では、ものの
見事に登場シーンがすべてカットされている。
あまりペラペラと喋り過ぎて、ウルサイと思われたの
だろう。
やはりホドホドに喋る程度がいいのだろう。
スポンサーサイト

トラックバックURL

http://randokukanso.blog79.fc2.com/tb.php/177-b2ad11eb

この記事へのトラックバック

この記事へのコメント

コメント投稿フォーム

管理者にだけ表示を許可する

Paging Navigation

Navigations, etc.

About This Website

/