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世のため、人のため 

「グスコーブドリの伝記」
 ますむら・ひろし  原作:宮沢賢治
     扶桑社文庫


宮沢賢治の作品をますむら・ひろしがキャラクターをネコに置き換え、
マンガ化したものの第三弾。
「グスコーブドリの伝記」の他に「猫の事務所」「どんぐりと山猫」が
収録されている。


「グスコーブドリの伝記」
主人公のブドリは飢饉で孤児となり、その後、苦労して都会の大学で
勉強し、火山局で働くことになる。

ある時、大飢饉の兆候が見られ、ブドリは火山を爆発させて、大気中
の二酸化炭素の量を増やし、気温を上げ、大飢饉を回避するという方法
を提案する。
ただ、その方法は火山を爆発させる役目の者が犠牲になる方法だった。
ブドリは自らその役目を買ってでて、大飢饉は回避された、という話。

宮沢賢治は質屋の子供であったため、凶作で生活が困窮した農民達が
家財道具などを売りにきた姿を目にした影響はあると思う。

火山をわざと爆発させて・・・という件は、今の感覚では、ちょっと
首をひねるものがあるが、人々のために犠牲になるという姿は
「銀河鉄道の夜」のジョバンニの

”みんなの本当のさいわいを探しに行く”

というセリフにも通じるものがある。

ただ自分が犠牲になる、という選択だけはしてほしくなかった。
逆に言えば、それだけ飢饉で苦しむ人々を何とかしたい、と考えていた
ということだろうか。


「猫の事務所」
猫の歴史と地理を調べる事務所で働いている、かま猫。
彼は、ささいな事から同僚からいじめられるようになってしまう。

同僚の猫がかま猫をいじめるようになった理由は、どうでもいいような
事である。(というより、言いがかり、と言った方がよい)

猫のやることだから・・・と思うが、よく考えると、この事務所で
働く猫達は、猫界のエリートである。

そんなエリート猫が、こんなくだらない理由で、という気がするが、
これは宮沢賢治の風刺である。

この話では、最後に事実を知ったライオン(上司)が怒って、
事務所を閉鎖するが、人間社会で同じような事がどれだけ行われて
いることか・・・


「どんぐりと山猫」
ある日、一郎は不思議なハガキを受け取る。
”明日、面倒な裁判をするので、来てほしい---山ネコ”

言われるままに行ってみると、そこでは山ネコ裁判官が、ドングリ達
の訴えに頭を悩ましていた。
もう三日も裁判をしているのだが、何かいい知恵を貸して欲しい、と
いうのだ。

一郎が山ネコの所に行く時に道を聞く相手がヴァリエーションに
富んでいる。

栗の木、滝、きのこにリス。

動物ならまだ分かるが、木や滝やきのこと会話する、という発想が
面白い。

ちなみに裁判を解決させた報酬は、金のドングリ。
「裁判所」は、どうやら一種の異世界だったようで、そこを離れる
ほどに色褪せていき、一郎の家に着いた頃には、普通のドングリと
変わらないものになっている。
(一郎は、別に騙されたとも思っていないが)

山ネコと別れ際に、今後、何かやっかいな裁判があったら、また
手紙を送る、と言われるが、結局、手紙は来ない。
山ネコの裁判所では、この時代から「裁判員制度」をやっていて、
いろいろな人を抽選で選んでいたからだろうか。
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カテゴリ: 宮沢賢治

テーマ: 読書感想 - ジャンル: 本・雑誌

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