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忘れた頃にやってくる 

ちくま日本文学
 寺田寅彦
    筑摩書房


寺田寅彦は物理学者であるが、随筆の名手でもある。また夏目漱石に俳句を習い、長い交流があった。
夏目漱石の「我輩は猫である」に、いつも変わった研究ばかりしている水島寒月という人物が登場するが、これは寺田寅彦がモデルであると言われている。

別の紹介の仕方をすると「天災は忘れた頃にやってくる」は寺田寅彦の言葉だという。
ちなみにこの本の中にも天災に備えて、地上は公園だけにして、地下都市を作ったらどうか、という話が出てくる。

ラッシュ時にすいている電車に乗るための考察や全く異なる言語が発音も意味を同一になる確率などユニークな視点のものもあれば、コンペイトウの出来方など身の回りの不思議について解説したものもある。

少し残念なのは、一杯の茶碗の湯から世界を見た随筆「茶碗の湯」が収録されていなかった点だ。(弟子の中谷宇吉郎曰く「茶碗の湯に宇宙を見た」)
最初に収録されている「団栗」は、少しホロリとするなど、内容が幅広い。

弟子である中谷宇吉郎は、人工雪の研究で「雪は天からの手紙である」という言葉を残しているが、これは雪の結晶の形は上空の気温により決まるため、雪の結晶の形を調べれば上空の気候が分かるので、雪は文字通りの意味で「手紙」であるのだ。

だが、寺田寅彦もこのように短くまとまっていないが、溶岩石を研究している知り合いを訪ねた時に「石ころ一つの中にも地球の秘密が書かれている。自分達はそこに書かれている文字を読むことができないだけだ」
と言っている。

ユニークな視点だけでなく、寺田寅彦のこのような考え方、ツボである。
そのため、寺田寅彦に関わる本を見かけるとついつい読みたくなってしまう。
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カテゴリ: 寺田寅彦

テーマ: 読書感想 - ジャンル: 本・雑誌

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