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サヨナラだけが人生さ 

さよならもいわずに
 上野 顕太郎 ビームコミックス


一人の男を突然、襲った悲しい出来事。そして、その後の一年間を描いた作品である。

その「悲しい出来事」とは「妻の死」

正直、一回目は読むのがつらかった。それは不快な表現があるから、とかいう類の理由ではない。
誰にでも起こりえる事であり、あまりに痛切すぎるから。できれば、何十年か先になったら、考えたい事だったからだ。
「1回だけだとしても多すぎる」という類の出来事なので、できれば経験したくない。


冒頭に「大切な人を失ったすべての人に。そして大切な人がいるすべての人に。」と掲げてあるが、おそらくこの一文はタテマエであろう。
著者自身が気持ちに一つの区切りをつけるため、というのがホンネだと思う。

作品中、葬儀社の人と葬儀の内容について話をするシーンがある。
当初、著者は「来てもらうだけでいい」と希望するが、葬儀社の人に「何か形があった方が送り手の方が安心するものだ」と言われ、花か線香をあげてもらう事にした、という件がある。

著者にとっての「形」がまさに「この作品」という事であったのだろう。
(ちなみに自分の親類でも同じように自費出版の本にまとめた人がいた。(こちらは大往生だったが))

結局、この作品を通して、ある「一言」を言いたかったのだと思う。
口に出してしまったら、妻の死を認め、忘れていくのではないかと恐れて、あえて使わなかったのでは、と思えるほど、作品中、出てこなかった一言。
だが、言えなかったためにずっと心残りであった一言。

・・・「さよなら」と。
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カテゴリ: 上野顕太郎

テーマ: 読書感想 - ジャンル: 本・雑誌

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コメント

喪の仕事

つい昨日まで隣に座っていた人が、今日はもういない、というのは不条理ですね。灯りの点く部屋が減ったり、洗う皿の数が少なくなったり…。
葬儀が生き残った人の為にあるというのは本当だと思います。
私のその時は分かりませんが、親爺は家族葬にしたいと考えています。

敦 #- | URL
2011/05/02 09:34 * edit *

Re: 喪の仕事

「大往生」なら心の準備ができるのですが、「突然」は
オロオロするばかりですね。
どんな「形」でも「形」にして、区切りをつけることで
送り手が安心する、というのは妙に納得してしまいました。

Tucker #- | URL
2011/05/03 11:01 * edit *

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