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光の国から僕らのために 

「ウルトラマンになった男」
 古谷敏 小学館


ウルトラマンの正体は設定の上では、科学特捜隊のハヤタ隊員。

だが、見方を変えれば、ウルトラマンのメインライター、金城哲夫であるとも言える。
別の人に言わせれば、姿をデザインした成田亨であるかもしれないし、第1話の監督、円谷一という人もいるだろう。
その他、脚本家、スタッフ etc. いくらでも出てきてキリがない。

しかし、そんな中で決して忘れていけない人がいる。
それは着ぐるみの中に入ってウルトラマンを演じた著者、古谷敏である。

ウルトラマンの話があった当初、著者は迷う。

「俳優」であるのに顔を出せない役。

さんざん悩み、口説かれた上で、期待されている事を知り、決心する。
そして、それは茨の道の選択でもあった。

どんなに疲れていても、スペシウム光線のポーズを毎晩、練習。
太るとウルトラマンの体型に影響が出てしまうので、夜食は厳禁。
過酷なアクションの後、建物の陰で吐いてしまうものの、その姿は決して、スタッフには見せない。
(加えて、だんだんタイトになる撮影スケジュール)

このプロ意識には頭が下がる。


本の文面からの想像だが、謙虚でマジメな人なのだろうと思う。

撮影が進んでいる中もあまりの過酷さに辞めよう、と思うが、偶然、バスに乗り合わせた子供達の会話でウルトラマンがどれほど愛されているかを知り、やりぬくことを決心する。
それまでは「顔も出ないので、いざとなれば誰がやっても同じ」という考えがどこかにあったのだが、これを契機に「ウルトラマンは自分にしかできない」と思うようになる。


そして、この心境の変化と同時に自他共に認めるほどアクションのキレもよくなっていく。
「逃げ場」があるのと「覚悟を決める」という事の違い、と言うべきか、ふっきれた人の強さと言うべきだろうか。


ウルトラマンの最終回の撮影が終了して、マスクを脱いだ時、
「泣いているの?」
と言われて、慌てて
「汗だよ」

ベタだが、カッコいい。

その後、著者はウルトラマンの演技が認められて、次のウルトラセブンでウルトラ警備隊のアマギ隊員に抜擢される。
ファンから是非に、という声が無視できないほど多かった、という事情もあったそうだが、それ以上に上層部の人が著者の隠れた努力や苦労を見ていたので、何としても報いたい、という気持ちがあったそうだ。

やはり見る人は見ているのだ。
こういうコツコツと努力する人が報われる話はホッとする。


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カテゴリ: 古谷敏

テーマ: 読書感想 - ジャンル: 本・雑誌

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