小人閑居

「ベストセラー」より「知る人ぞ知る」といった本を紹介していきたいと思います。

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目覚めはある朝突然に

「レナードの朝」
  オリヴァー・サックス 著
  春日井晶子 訳
     早川書房


1920年代に流行した病気、嗜眠性脳炎。
体の痙攣が徐々に進行し、次第に体を動かすことができなくなってしまい、やがて脳の機能も停止してしまう、と考えられていた。

そして、30数年後、嗜眠性脳炎患者が入院している病院に勤めるようになった著者は、パーキンソン氏病の治療薬として開発されたLドーパが有効であるかもしれない、と考え、患者に投与しはじめる・・・


オリヴァー・サックスの本は割りとよく読んでいる。
映画の「レナードの朝」を見たのがきっかけで、その原作である本書を読み、その後「火星の人類学者」「妻と帽子を間違えた男」と読み進めていった。

「火星の人類学者」「妻と帽子を間違えた男」は、患者のエピソードが主であるが、本書は、患者達の症例以外にも専門的な事も書かれているので、内容は難しい部分もある。

ただ患者の症例の部分だけでも十分、面白い。
映画では、薬に対する患者達の反応は同じように描かれていたが、実際は、まるで異なるものだったらしい。
中には、文字通り「飛び起きた」人もいたそうだ。


薬のおかげで退院することもできた人もいれば、感情の起伏が激しすぎるようになってしまった人もいた。

悲しいのは、現実に対処できない(患者にしてみれば、気が付いたら30年近い年月が経っていた)ので、自ら望んで薬を中断した患者もいたということだ。
薬の効果との折り合いをつけることができたのは、ごくわずかだったらしい。


考えさせられるのは、薬以上に効果があったのは、「人との触れ合い」だった、という点だ。

薬によって症状が改善したため、長年、会っていなかった家族と再会すると症状が安定するが、家庭や職場など、「自分の居場所」が見出せないと、いくら薬の量を増やしても悪い症状ばかり出てしまったそうだ。

映画の方でもラストで、「”人の心”がなによりの薬だった」という旨の台詞が出てくるが、やや唐突なので、意味する所が分かりにくかった。
が、原作のこの部分を読んだことで、ようやく腑に落ちた。

ありふれた言葉だが、人は人なしでは生きていけないのだ、という事がつくづく思い知らされる。
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