FC2ブログ
10 // 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30. // 12

目覚めはある朝突然に 

「レナードの朝」
  オリヴァー・サックス 著
  春日井晶子 訳
     早川書房


1920年代に流行した病気、嗜眠性脳炎。
体の痙攣が徐々に進行し、次第に体を動かすことができなくなってしまい、やがて脳の機能も停止してしまう、と考えられていた。

そして、30数年後、嗜眠性脳炎患者が入院している病院に勤めるようになった著者は、パーキンソン氏病の治療薬として開発されたLドーパが有効であるかもしれない、と考え、患者に投与しはじめる・・・


オリヴァー・サックスの本は割りとよく読んでいる。
映画の「レナードの朝」を見たのがきっかけで、その原作である本書を読み、その後「火星の人類学者」「妻と帽子を間違えた男」と読み進めていった。

「火星の人類学者」「妻と帽子を間違えた男」は、患者のエピソードが主であるが、本書は、患者達の症例以外にも専門的な事も書かれているので、内容は難しい部分もある。

ただ患者の症例の部分だけでも十分、面白い。
映画では、薬に対する患者達の反応は同じように描かれていたが、実際は、まるで異なるものだったらしい。
中には、文字通り「飛び起きた」人もいたそうだ。


薬のおかげで退院することもできた人もいれば、感情の起伏が激しすぎるようになってしまった人もいた。

悲しいのは、現実に対処できない(患者にしてみれば、気が付いたら30年近い年月が経っていた)ので、自ら望んで薬を中断した患者もいたということだ。
薬の効果との折り合いをつけることができたのは、ごくわずかだったらしい。


考えさせられるのは、薬以上に効果があったのは、「人との触れ合い」だった、という点だ。

薬によって症状が改善したため、長年、会っていなかった家族と再会すると症状が安定するが、家庭や職場など、「自分の居場所」が見出せないと、いくら薬の量を増やしても悪い症状ばかり出てしまったそうだ。

映画の方でもラストで、「”人の心”がなによりの薬だった」という旨の台詞が出てくるが、やや唐突なので、意味する所が分かりにくかった。
が、原作のこの部分を読んだことで、ようやく腑に落ちた。

ありふれた言葉だが、人は人なしでは生きていけないのだ、という事がつくづく思い知らされる。
スポンサーサイト



カテゴリ: オリバー・サックス

テーマ: 読書感想 - ジャンル: 本・雑誌

[edit]

« そっちのけのドタバタ騒動  |  星に願いを »

コメント

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://randokukanso.blog79.fc2.com/tb.php/317-eef263b7
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

最新記事

カウンター

プロフィール

検索フォーム