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絶対的な権威「空気」 

「空気」の研究
 山本七平 文春文庫


「空気」と言っても、毎日呼吸している「空気」ではなく、「空気読め」とか言われたりする場合の「空気」についてである。

読むきっかけになったのは、東日本大震災による福島原発事故に関する東京電力の会見や関連報道でどうも一般の常識が通用しない、と感じられる事が多かったからだ。

当初、あくまで「メルトダウン」という言葉を使おうせず、事故を小さなものとして扱おうとしたり、原発賠償条約非加盟の理由の一つが「原発が安全でない、という印象を与えるから」というものがあった。


専門家集団が出した結論が論理的な判断による決断ではなく、論理を飛び越えた判断による結論になってしまっているのだ。
つまり「空気」による判断が働いたのだろう。

本書では「空気」による判断が働いた例として、「戦艦大和の沖縄出撃」や「公害問題」が使われており、時代を感じるが、それだけ昔から「空気」による判断、というものが存在していた、ということだ。


では、なぜ「空気」がその場(または時代)を支配してしまうのだろうか?


それは、自分達が相手にしているものの背後にいつしか「何か」を付加してしまい、それに自分達が支配されてしまうからである。

原発の話に当てはめてみると、「原発は安全だ」という事を強調するあまり、この言葉自体が「ご本尊」のようになってしまい、
これに支配されるようになったのだろう。
そして「原発は安全だ」という「ご本尊」を脅かすものについては、排斥していったのだと思われる。


「空気」による支配の特徴の一つに「空気」が雲散霧消した場合、第三者から見ると、なぜそんな熱心になっていたかがさっぱり分からない、という点がある。こういう点も非常によく似ている。


ところで、「空気」による支配を雲散霧消させる手段は「水を差す」事だ。
熱中している関係者達に冷や水を浴びせかけるような、冷静な一言の発言が、「空気」を消し去る力になるらしい。

ただ、この「水を差す」人は、周囲から仲間はずれにされやすい。
それを恐れて、何も言わないままの人を単純に責める事はできないだろう。

理想は「笑い」というオブラートでくるんで、チクッと刺すのが、いいのだろうが、そんな芸当のできる人が都合よくいたりするだろうか。

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カテゴリ: 山本七平

テーマ: 読書感想 - ジャンル: 本・雑誌

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コメント

KYが日本を滅ぼす?

確かに「ユーモアにつつんでチクッと刺す」のが理想でしょうが、かなり器用でない私は言いたい事は我慢せず言ってしまいます。これで口喧嘩が絶えませんが(笑)、嫌われるのを恐れていたら何も出来ませんよね。会社組織内では難しいでしょうが…。最近、大学生が友達がいないと思われるのがいやでトイレの個室で弁当を食べるという“便所飯”という言葉があると聞きましたが、若者は更に空気に支配されているんだなぁと思いました。

敦 #- | URL
2011/06/17 11:19 * edit *

Re: KYが日本を滅ぼす?

過ぎたるは及ばざるが如し。

度を越した同調圧力は害でしかありませんね。

「原発の安全神話」にしろ「便所飯」にしろ、「空気」の中にいない人には全く理解できませんが、当事者にとっては、必死にならなければならない問題なのでしょう。
本の中でも触れていましたが、正にそれが「空気」支配の特徴だそうです。
「空気」が消えた後は、当人でさえ、当時、なぜあれほど必死だったのか、首をひねることになるのでしょう。

KarrNon #- | URL
2011/06/18 14:52 * edit *

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