小人閑居

「ベストセラー」より「知る人ぞ知る」といった本を紹介していきたいと思います。

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SF(少し不安)な物語

藤子・F・不二雄[異色短編集]3
 箱舟はいっぱい
   藤子・F・不二雄  小学館文庫


収録作品は次の12作品。

「箱舟はいっぱい」
「権敷無妾付き」
「イヤなイヤなイヤな奴」
「どことなくなんとなく」
「カンビュセスの籤」
「俺と俺と俺」
「ノスタル爺」
「タイムマシンを作ろう」
「タイムカメラ」
「あのバカは荒野をめざす」
「ミニチュア製造カメラ」
「クレオパトラだぞ」

初めて掲載されたのがいずれも青年誌のため、ブラックな内容が多い。


「イヤなイヤなイヤな奴」
長距離宇宙貨物船は、閉ざされた空間内で、同じメンバが長期間、顔をあわせ続けているため、
次第に全員が異常な精神状態になっていく事が多い。
そのために会社がとった防止策は・・・。

「共通の敵」がいる時が一番まとまる、というのは、まさにその通り、としか言いようがない。
が、その「共通の敵」が見えなかったり、身近に感じられなかったりする「目の前に見える」ものでなかったりすると、逆に全然、まとまらない。
どこかの国のセンセイ達が見事に証明してくれたのは記憶に新しい。


「どことなくなんとなく」
いつもと変わらぬ日常が続いているはずなのに、何か違和感を感じる。
起きる事の一つ一つは全く何もおかしい所はない。むしろ、なさすぎる所に疑問を感じる主人公。

今、現実だと思っている事が実は夢でしかない、という「胡蝶の夢」(あるいは映画の「マトリックス」)のような話が本当だったら・・・
よく考えると読んでいて不安になってくるような作品。


「カンビュセスの籤」
究極の選択を迫られる怖い話。
一人さえ生き残れば、クローンなどの技術で人類は再生できる、と言われても、そんな状況に耐えられるか、まったく自信がない。
というより、耐えられない自信がある、と言った方がいいかもしれない。


「ノスタル爺(じい)」
太平洋戦争の終戦を知らず、孤島のジャングルで30年暮らしていた主人公。
奇跡的に発見され、日本に戻るも、故郷はダムの底に沈んでいた。

近づける所までは近づこうとすると、水の底に沈んだはずの村が目の前に広がっていた。
なぜかは分からないが、主人公は過去の世界に行ってしまったのだった。

過去の世界では、ひどい待遇を受けてしまうが、それでも、過去に残る決心をする主人公。
「現在」とは接点がほとんどなくなってしまった主人公にとっては、「過去」が「現在」なのだろう。

ラスト、ひどい待遇にも関わらず、失った「過去」で暮らす主人公の満足そうな表情が印象に残る。

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