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まだ途中 

あの日からのマンガ
  しりあがり寿
    エンターブレイン


「あの日」とは、東日本大震災が発生した 2011/03/11 のこと。

朝日新聞夕刊に連載されている4コママンガ「地球防衛家のヒトビト」と「月刊コミックビーム」「小説宝石」に掲載された震災及び原発事故がテーマの短編が収録されている。
テーマがテーマだけにマンガのネタにしてしまっていいのか、とも思うが、作者は「”たとえ間違えているとしても、今、描こう”と思いました」と覚悟の上だ。

作者自身、震災1ヵ月後、ボランティアに行っているので、被災地の状況や避難生活をしている人達の暮らしぶりの描き方には、実感がこもっている。

印象的なのは、建物の被害もあまりない地域から、津波の被害にあった地域に入った時の様子。
「とつぜん、なにもなくなった・・・」
という一文と、その後、瓦礫を描くコマが4コマ続く。

その落差を思い浮かべると、ゾッとするものがある。

それから、東京へ帰るので、別れの挨拶をするシーン。
「みなさん、今日、これからは?」
と聞くと
「今日、これからも何も・・・
 ず~~~~~っと復興です」
という答え。

遠い昔に終わった事のように思えてきてしまうが、被災地の人にとっては、まだまだ「途中」でしかない。


それでも4コママンガの方は、「エッセイマンガ」のような感じだが、短編の方はかなり痛烈な皮肉が込められている。
エネルギーシフトをした結果、暮らしは不便になったが、キレイな夜空を取り戻した、という話や放射性物質を擬人化したブラックな話、延々と議論ばかりしていて、事態を少しも前に進めない鳥のいる森の話などなど。
様々な意味で胸に突き刺さるものばかり。

短編の中で、一番、印象的なのものは最後に収録されている「そらとみず」
この短編には、セリフらしいセリフは出てこない。悲しい話なのだが、ラストに救いを感じるものだった。

震災から時間が経ったが、まだ何も終わっていない、という思いを新たにした。

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カテゴリ: しりあがり寿

テーマ: 読書感想 - ジャンル: 本・雑誌

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