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「進歩」は「退化」? 

華氏451度
  レイ・ブラッドベリ 著
  宇野利泰 訳




本が禁制品となった世界。
本は麻薬か伝染病のように忌み嫌われ、発見次第、焼却処分される。

主人公ガイ・モンターグは本の焼却処分を行う「焚書官」
「逆消防士」とでも呼ぶべき仕事。

モンターグは、とある焼却処分の現場で、偶然から禁制品の本を手にしてしまい、自らの仕事に疑問を持ち始め、ついには追われる身になってしまう。
ちなみにタイトルの”華氏451度”は、摂氏だと233度。この温度は、紙が自然発火する温度だという。

巻末の解説によると1950年代のアメリカのマッカーシズムを風刺するために書かれたらしい。
だが、モンターグの上司ビーティの語る「焚書官の仕事の来歴」の話は、今の事を言っているのでは、と思えるほどだ。

曰く「テレビなどのメディアが発達し、スピードを求められるあまり、複雑な事は省略され、短く単純化される」
曰く「深く考察することは敬遠されるようになり、様々な事は、ますます省略・単純化される」
曰く「手っ取り早く、結果だけ手に入れられるものが好まれる風潮が広まる」

伊坂幸太郎「魔王」の中で出てきた
「お前たちのやっていることは、”思索”でなく”検索”だ」
というセリフがふと頭をよぎった。


「分かりやすい一言」の連呼。
なんでもかんでも単純な「二項対立の図式」に還元する手法。
どこかの国でよく使われているような気がするのは、考えすぎだろうか。

さらにグサッとくるのは、本作の中で、本が禁制品になったのは、暴走した政治家が勝手に決めたのではなく、多くの一般の人が求めた結果、という点。
政治家は一般人に何一つ強要などしていないのだ。

「進歩」「発達」だと思っているものは、実は(ある意味)「退化」なのか、と思ってしまった。
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カテゴリ: レイ・ブラッドベリ

テーマ: 読書感想 - ジャンル: 本・雑誌

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