PEN+
大人のための藤子・F・不二雄
雑誌「PEN」の別冊で、一冊まるごと「藤子・F・不二雄」の特集。
藤子・F・不二雄と言えば、誰もが「ドラえもん」を思い浮かべるだろう。
その「ドラえもん」は、2112年9月3日が「誕生日」
今年は、その100年前の記念の年で、先日「ドラえもん生誕100年"前"記念日」の事がニュースになったのも記憶に新しい。
記事は「ドラえもん」や「パーマン」など、誰もが知る超有名な作品だけでなく、短編についてもページを割いて大きく扱っている。
藤子・F・不二雄の作品は、短編の方が好きなので、個人的にはうれしい内容。
(さすがに「ドラえもん」が中心になるが・・・)
ただし、一番好きだった「老年期の終わり」が紹介されていなかったのが残念。
このような特集には、必ずある「宿命」のようなものと思うしかないだろう。
その代わり、個人的なお気に入り作品の一つ「超兵器ガ壱号」がカラーイラスト付きで紹介されていたのは、うれしい誤算だった。
面白いと思ったのは、作品発表の年表。
短編と他の有名作品をまとめたものと、短編だけをピックアップしてまとめた年表の2種類ある。
こうして年表として、まとめられると同じ時期にどんな作品が発表されたのか、何が起きた時期に発表されたのかが分かりやすく、ついつい見入ってしまう。
これが何より藤子・F・不二雄を物語っているように思える。
また、藤子・F・不二雄の言葉を集めた記事では、のび太のようなダメなキャラは生き生きと描けるが、皆が憧れるカッコイイヒーローは何か現実感のないキャラになってしまう、と語っている。
自分自身が「のび太」であり、多くの人が程度は様々ながら「のび太」的要素を持っているのでしょう、という言葉が身にしみる。
そしてそれは世界共通なのだろう。
だからこそ、「ドラえもん」は長く愛され、世界中で受け入れられているのだと思う。
2012年9月3日の朝日新聞で
「ドラえもん」は米国には進出していない。
「自助努力」や「進歩」といったアメリカ的価値観と相容れない云々・・・
といった内容の記事があった。
これを読んだ直後は「さもありなん」と思ったが、その後「一皮剥けば一緒」と思うようになった。
単に「のび太的要素」がある事を堂々と認めるか、認めないかだけの違いでしかないのでは・・・。
また
「面白いマンガを描くコツは、作者自身にとって面白い作品を描くこと」
という言葉も印象に残った。
ウルトラマンの監督の一人だった実相寺昭雄も
「子供に何を見せよう、と考えた事は一度もなかった。
ただひたすら自分が子供の頃にできなかった事をやっていただけ」
という旨の事を言っていた。
これさえ守っていれば、必ず「名作」になるわけではないが、「名作」と言われるものは必ずこういう要素が入っているのだろう。
この雑誌で、まだ読んだことのない短編があることも分かったので、探して読んでみたい。
スポンサーサイト
この記事へのコメント