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知っている事と知らない事 

宇宙に外側はあるか
 松原隆彦
  光文社新書


研究を進めれば進めるほど新たな謎が出てくるのが学問の世界。
が、宇宙論の分野では、新たな謎が出てくると同時にSF(本来の意味でのSF)とみまごうばかりの理論が展開される。

その最たるものが
「宇宙は一つではないのでは?」
というもの。

量子論の観測問題。
ビックバンの後のインフレーションが人間にとって、あまりに都合よく止まったこと。
物理の様々な定数が人間が存在しうるように調整されたと思えるほど、あまりに絶妙な値であること。

これらを考えると、他にも「宇宙」があるのでは、という考えもよぎるが、今の段階でそれを証明する方法はない。

本書は、これらの事やその前提となる事について、平易に解説している。

宇宙に存在するはずのエネルギー量のうち、人間に見えているのは、そのうち4%だという。
観測可能な物質だけでは、この宇宙の形を説明するために必要なエネルギーが圧倒的に足りない。

が、宇宙は、こうして存在する。

今の物理の理論がどこかで致命的に間違っているか、観測できていない「何か」が存在するのか。
理論が間違っている、とするにはあまりに観測結果に適合する。

「何か」の候補として「ダークマター(暗黒物質)」が挙げられるが、これも全体の23%しかない。

残りの73%は?
この「何か」は「ダークエネルギー(暗黒エネルギー)」と呼ばれるが、その正体は皆目見当もつかない。

観測機器は、天文学が生まれた頃より格段に進歩しているが、その結果、分かったのは絶望的なまでに何も分かっていない、ということだった。

本書のプロローグで、孔子の次の言葉が紹介されている。
「知っている事を知っているとし、知らない事は知らないとする。
その区別を明確にできることが本当に知るという事である」

その通り、とは思うが、一方で
「知らない事の重さに耐えられるのか?」
という気もしてしまう。

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カテゴリ: 松原隆彦

テーマ: 読書感想 - ジャンル: 本・雑誌

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