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語りかけてくるもの 

スノーボール・アース
 ガブリエル・ウォーカー
  川上紳一 監修
  渡会圭子 訳


5億数千年前に起こった「カンブリア紀の大爆発」と呼ばれる、生物の爆発的な進化。

それをもたらしたものが「スノーボール・アース(全地球凍結仮説)」
これは、かつて地球が全面的に厚い氷に覆われていたとする説。

この説では、それまで地質学の世界で信じられていた「斉一説」(現在のような気候が、過去も続いていたと考える説)をひっくり返す事になり、地質学界は大騒ぎになる。

本書は「スノーボール・アース」を提唱したポール・ホフマンだけでなく、それ以前の先達が積み上げた理論も紹介し、ポール・ホフマンが如何にして自説にたどり着いたかを紹介している。
また、提唱後の激烈な論争についても描かれている。

小さな岩の標本から、この説を引き出した様子から、ふと思い出した事がある。

それは、明治の頃の物理学者、寺田寅彦。
知り合いの火山学者がフィールドワークをしている所へ陣中見舞いに行った後、
「この石ころ一つにも地球創世の謎が刻み込まれている。ただ、そこに書かれている”言葉”を読む術を知らないだけだ」
という旨の事を随筆に書いている。

寺田寅彦の弟子の中谷宇吉郎は、もっとキレイに
「雪は天からの手紙である」
とまとめている。

この言葉、雪を手紙にたとえたものだと思っていた。
が、本来の意味は、雪の結晶の形はそれが形成される上空の気温によって決まってくる。
だから、雪の結晶の形を調べれば、上空の気温が分かる。
その意味で、雪を”手紙”に例えたのだ。

この「スノーボール・アース」に賛成するにせよ、反対するにせよ、どんな科学者でも、その根拠としたものは「岩が語ること」であった。

別に科学の論文を発表するわけではないが、季節の変化を楽しむためにも、自然が語りかけてくる事に敏感でいたい。
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カテゴリ: ガブリエル・ウォーカー

テーマ: 読書感想 - ジャンル: 本・雑誌

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