小人閑居

「ベストセラー」より「知る人ぞ知る」といった本を紹介していきたいと思います。

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友に捧げる

「人イヌにあう」 早川書房
  コンラート・ローレンツ 著
  小原 秀雄 訳


「イヌとネコだったら、どっちが好き?」
と聞かれた事がある人は多いだろう。

だが、この質問、正直、かなり悩ましい。
イヌもネコもどちらも好きなのだ。
いや、イヌ・ネコに限らず、哺乳類・鳥類が好きと言った方がよいかも
しれない。

だからといって、「両方好き」という答えは期待されていない。
ましてや「カルガモ」など選択肢にない答えを口走ったりしたら、相手は
愛想笑いをするやいなや、足早に去っていくだろう。

どちらか一方を答えることによって、さらに会話を広げよう、という意図が
あるのは分かるので、なにがなんでもどちらかを選択しなければならない、
(しかもそれなりの理由をつけて)というプレッシャーを感じてしまう。

質問した方は、他愛ない質問のつもりで聞いているのだから真剣に悩んでも
仕方ない、と思いつつ、やはり頭を抱えてしまう。
その姿を見て、引かれても困るので、最近は「イヌもネコもどっちも好き
だけど、どちらか一方しか選べないとしたら、イヌが好き」と模範解答を
準備している。

ところで、著者のローレンツ博士に同じ質問をしたら、どうなるだろう。
きっと「頭を抱える」などというレベルではなく、三日三晩くらい飲まず
食わずで悩んだ挙句、「選べない」と答えるのではないだろうか。

この本は、そんなローレンツ博士が飼っていたイヌたちとのふれあいを
つづっている。(ネコに関する話も2,3ある)

仕事で家をしばらく空けなければならなくなった時、イヌが悲しみのあまり、
自暴自棄のような状態になって荒れてしまったエピソード。
年老いて目が悪くなったイヌが、間違えて主人に吠えかかってしまった
のをごまかしたエピソード。
飼い犬の散歩中、他のイヌとにらみ合いになった時、両方のイヌがチラチラ
と横目でローレンツ博士を見て、止めてくれと(文字通り)目で訴えて
いたエピソード。

イヌの外見よりも、その性格を愛するようにしては、と呼びかけるくだり
には、イヌに対する愛情があふれんばかりだ。
が、同時に動物行動学者としての冷静な観察も行われている。
飼い犬にディンゴの子を育てさせようとした時の様子などは、その最たる
ものだろう。
自分のような凡人であったら「戸惑っている」の一言で片付けてしまい
そうだ。

そして最も印象的なのは、最後のエピソードの「人とイヌの寿命の違い」
について。
ローレンツ博士は「神が世界を創造したとき、将来、人とイヌの間に友情
が結ばれることを予見していなかったに違いない」と言っている。

イヌは人間よりも5倍も短い生命だから、悲しい別れをしなければならない
のは、まず間違いなく飼い主の方となる。
だが、だからこそ、そのイヌの子供やそのまた子供と生命が続くことを見る
こともできる。
すべての飼い主がこのようなことができるわけではないだろうが、ローレンツ
博士のこのような飼い方には憧れを覚える。

2009/9/19(木)の朝日新聞の記事に、捨てられるペットについての記事が
あった。
「処分するのがお前の仕事だろ」と保健所の職員に言い放つ飼い主がいるかと
思えば、飼い主に適しているか見極める工夫を凝らそうとしているペットショップ
もある。

もし将来、イヌに限らず、ペットを飼うか決めなければならなくなった時は、
軽い気持ちではなく、「生命」を預かる、という覚悟があるかよくよく考えて
決めたいと思う。
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