小人閑居

「ベストセラー」より「知る人ぞ知る」といった本を紹介していきたいと思います。

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名は体を表す

鳥と雲と薬草袋
 梨木香歩
  新潮社


著者が訪れた事のある土地の名前をテーマにしたエッセイ。

薬草袋、というのは著者が旅行の時に持ち歩く常備薬やら、乾燥したブーケなどを入れたごちゃごちゃ袋のこと。
この袋のように、土地の名前に関する事をいろいろと書いたもの、という意味で本書のタイトルに使っているらしい。

ちなみに鳥の話は少なく、雲の話はほとんどない。

地名の由来や地名から受けるイメージをとりとめもなく書いている、という感じを受ける。

元々、西日本新聞で連載されていたものなので、九州の地名が一番多く、次いで西日本の地名が多い。
関東、東北、北海道の地名は数えるほど。

まなざしからついた地名
文字によりかからない地名
消えた地名
新しく生まれた地名
温かな地名
鳥のもつ名まえ
 :
などテーマごとに5,6個ほどの地名の話が展開される。

本書の中で著者が
「地名は住んでいる場所を示す記号以上のもの」
と言っているのは、正にその通り、と思う。

地名は所在地を示すだけでなく、その土地の特徴、成り立ちや歴史をよく現している。
特に古くからある地名ほど、その傾向が強い気がする。

わずか数文字の中に、それだけのものを内包しているのは、人が積み上げた知恵だろうか。

それに対して「新しく生まれた地名」の章で出てくる新しい地名(特に平成の大合併の掛け声の下に生まれた地名)は、記号的というか味も素っ気もないものが多い。
(それを言ってしまえば、自分が今、住んでいる所も「味も素っ気もない」地名になってしまっているが・・・。)

地名としては、目新しい印象を受けるが、それで終わり、というもの。

奥行きも何もあったものではない。
こういう地名には閉口してしまう。
新しい地名は、こんな地名ばかりではない事を祈る。

そういう地名の所に住んでいる人は、どう感じているのだろうか。

ちなみに自分は住んでいる所の話をする場合は、昔からの地名の方を言う事が多い。
「愛着」以外に、サッカーのJリーグのチーム名に付いているので、ピンとくる人が多いのと、新しい地名では指し示す範囲が広すぎて、逆に分かり難くなるから、という理由もあるが・・・。

ところで、この本で出てきた地名の中で一番ツボに入ったのは「小雀」という地名だった。
「横浜市戸塚区小雀町」

これだけでも人を笑顔にするような地名だが、
「小雀乗合バス」「小雀公園」
というのは、面白い情景が思い浮かぶ名前。

さらに
「小雀小学校」
まであるらしい。
これこそ「スズメの学校」か。
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