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真っ黒 

1922
 スティーヴン・キング
  文春文庫


「1922」と「公正な取引」の2編から成る。

前者は息子と共に妻を殺した男が辿る運命が描かれる。
ホラーのキングらしい味付けもあるが、「罪」の意識に追い詰められていく男の話。

そして、後者は「笑ゥせぇるすまん」に出てきそうな感じのブラックなエピソード。

「1922」の原題は「Full Dark, No Stars」(星もない真っ暗闇)
その名の通り全く救いがない。
気分が落ち込んでいる時には読まない方がいいかもしれない。

主人公が自分の罪の告白記を書いている、という体裁で物語は進む。
そのため、ところどころに思わせぶりな表現が出てきて、焦らされることになる。

偶然にも自分が最近読んだキングの作品は
「全ての成り行きを知っている主人公が第三者に真相を語る」
という形式で、その「手口」には慣れていたので、多少、余裕があった。

ところで、主人公の息子が辿る運命は、映画「俺たちに明日はない」ほとんどそのまま。
パロディだったのだろうか。
唯一、ニヤリとできるところだった。

「公正な取引」は「1922」より、はるかに短い作品。

悪魔(らしき者)と取引をして、自分の「不幸」を他人に移し変える話。
ただし、移し変える相手は・・・。

悪魔(らしき者)が要求するのは「魂」ではなく「お金」
しかも要求した金額は安くはないが、高くもない。「妥当」と思える金額。

主人公も悪魔(らしき者)も後から「契約内容」を違えようとしない。
また、「契約内容」は額面通りで、注意しなければならないような「落とし穴」はない。
正に「公正な取引」

だが、どこか落ち着かない感じを受ける。
それは「不幸」を移し変えられた相手がいるから。

主人公と悪魔(らしき者)が「受け取った物」と「払った物」は等価だが、「不幸」を移し変えられた相手は、どうだったのだろうか。

その「不幸」に見合うだけの「幸運」を享受していたような描写はない。
むしろ、主人公の歪んだ「妬み」の犠牲になったような印象を受ける。

一言で言ってしまうと
「他人の不幸は蜜の味」
といった感じの内容。
だから、落ち着かなかったのだろう。

どちらにせよ、この2編は共にかなり「毒」が多い。
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カテゴリ: スティーブン・キング

テーマ: 読書感想 - ジャンル: 本・雑誌

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