小人閑居

「ベストセラー」より「知る人ぞ知る」といった本を紹介していきたいと思います。

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神は残酷

デスペレーション
 スティーヴン・キング
  新潮社


ネヴァダ州の砂漠にある寂れた鉱山町。デスペレーション。その町で、ある「異変」が起きる。

その異変により町の住人は、互いを殺し合い、死に絶えてしまう。
しかも、ただ殺すだけでなく、十分に苦痛を与えた上であったり、死体にも、さらに損壊を加える、という異常な方法で。

それでも犠牲者がまだ足りない、とばかりにデスペレーションの警官コリー・エントラジアンは、近くのハイウェイを通る人々を次々と拉致し、留置場に監禁する。

警官は明らかにまともではない。が、それだけではなかった。
体が内部から崩壊しつつあるのだ。
まるで「何か」に侵されたかのように。

一体、この町で何が起きたのか?
拉致された人々は、どのようにして、この状況から脱出するか?

以下、ネタバレ含む。

デスペレーションの「異変」は、地中深く埋まっていた正体不明の邪悪な「形無き者」の仕業。
鉱山で地中を掘っていた時、「形無き者」を掘り起こしてしまったのだ。

目覚めた「形無き者」の力で狂った人々は殺戮を繰り返し、町には生存者がいない状態に。
狂った警官コリー・エントラジアンは「形無き者」が自ら(の一部)の「容器」として使っていたもので、外見こそ人間だが、中身は全く違うモノであった。

拉致された人々が、この状況から抜け出すカギは「神」に触れた少年と落ちぶれつつある作家の2人。

キングお得意(?)の「正体不明のモンスター」と、それに立ち向かう人々の話。

「シャイニング」「IT」でも「正体不明のモンスター」が登場したが、このモンスターそのものが何なのか、何を目的にしているのかは不明だった。
本作で登場した「形無き者」も何が目的なのかは不明。
自らの欲望のままに動いている、というだけなのかもしれない。

少年が触れたという「神」も、本当にそうなのかは、はっきりとしない。
「形無き者」と似た存在のように描かれているが、少年が触れたという「神」の方が力が強い、という事になっている。

「形無き者」と少年が触れたという「神」は同質の存在なのかもしれない。
「力」の差は、信じる者がいるかどうかの違いによる差でしかないのだろう。

どちらも「残酷」という点では共通している。
(「形無き者」は「残虐」という言葉の方がしっくりするが、それも人間の立場から見れば「残虐」というだけかもしれない。)

少年の「神」は自身を「残酷」とも「慈悲深い」とも言わなかったが、「形無き者」は自身が「残酷」なのは認めた。

また、本作の最後の方で、主人公たちは「形無き者」に連れてこられたわけではなく、「形無き者」を止めるために「神」に送り込まれた、という事が判明する。
本人の自由意志ではないので、「形無き者」が許せば、対決せずとも町から逃げられるが、その「代償」を払う事になるのが暗に仄めかされる。

どっちもどっち・・・。
「形無き者」には当然だが、正直、少年の「神」にも、それほどお近づきには、なりたくないと思ってしまった。

ところで、本作は本作のみで一つの作品として独立しているが、「双子」とも言える作品が存在する。
それは「レギュレイターズ」
本作の続編という訳ではないが、キングの遊び心が垣間見えるものになっている。
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