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「懐かしさ」ではなく 

ジブリの教科書3
 となりのトトロ
  ジブリ×文春文庫


スタジオジブリ作品の裏話&考察を行う”ジブリの教科書シリーズ”「となりのトトロ」編。

「となりのトトロ」は劇場公開時、あまり興行成績が良くなかったらしい。
が、今ではスタジオジブリのマークにも使われるほど「出世」している。
(ちなみにスタジオジブリ作品のキャラクターグッズの売上も、トトロがダントツだそうだ)

「風の谷のナウシカ」や「天空の城ラピュタ」のような「重さ」がなかったせいか、宮崎駿監督自身も楽しみながら作っていた、という。
(「ナウシカ」や「ラピュタ」は「楽しい」よりも前に「苦しい」があったそうだが)

そういう気分が作品に反映されたからこそ、「派手さ」はないが、長く愛される作品になったのかもしれない。

「となりのトトロ」では、よく「懐かしさ」が強調して語られる。

が、インタビューの中で監督は
「あの時代が懐かしいから作ったんじゃありません。
やはり子供達があの作品を見たのをきっかけにして、ふと草むらを駆けたり、ドングリを拾ったりしてくれないかなとか。
もう本当にわずかになっちゃったけど神社の裏側にもぐって遊んでくれないかなとか、自分の家の縁の下をのぞきこんでドキドキしてくれないかなとか、そういうことなんですよね。」
と語っている。

そのためか、プロの目から見ても、「となりのトトロ」の背景は、かなり精密に描かれているらしい。
草や土の匂いまでしそうなほど。

映画を見た後、実際に監督の望み通りの事をした子供が何人いただろうか。
きっと、そのうちの何人かは「トトロ」を見た、と言ったに違いない。

ところで、「トトロ」は何者なのだろう。

「神」と呼ぶには身近すぎる存在のように思えるし、「お化け」や「妖怪」と言うには愛嬌がありすぎる。
(ネコバスなら「猫又」のイメージがあるせいか、「妖怪」という言葉が一番近い気がする)
「妖精」や「精霊」だと、西洋的すぎる。
(海外では「森の精霊」と紹介されている所もあるそうだが)
もちろん「怪物」ではない。

実際のところ、生みの親の宮崎駿監督にとっても「よく分からない存在」らしい。

「神」ほどの力は持っていないが、それなりの力は持つ存在。
「お化け」や「妖怪」のように害を与えるものではない。

ざっくり「アニミズム的な何か」と言えるかもしれない。
が、ニュアンスが少しずれている感じもする。

一番、しっくりくるのは「森の主(ぬし)」
森に住み、森と共に生き、森がなくなると、何処かに行ってしまう存在。

そういう事を考え始めると「となりのトトロ」公開時のコピーが、心に響く。
「このへんないきものは、まだ日本にいるのです。たぶん。」

最後の「たぶん」が、いらなくなる日が来るだろうか。
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カテゴリ: スタジオジブリ

テーマ: 読書感想 - ジャンル: 本・雑誌

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