小人閑居

「ベストセラー」より「知る人ぞ知る」といった本を紹介していきたいと思います。

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同音異曲

まんがで読破
 遠野物語
  イースト・プレス
  原作:柳田国男


タイトルは「遠野物語」だが、タイトルが同一な別の話。

都会の生活しか知らない学生が、いきなり自給自足の生活に放り込まれて、電気に頼らない暮らしぶり、昔からの生活の知恵を見直していく、という話。
日本テレビ「鉄腕DASH」のDASH村での生活体験記、と言うとイメージしやすいと思う。

ちょっとした味付けとして、主人公の将来に対する不安感が吐露されていたりする。
(その"不安感"自体は、ありがちなものではあるが・・・)

ちなみに登場する妖怪は数えるほど。
「遠野物語」が、そのままマンガ化された、と期待する人にはガッカリな内容かもしれない。


主人公は大学院で民俗学を学ぶ学生、柳瀬孝之。

教授と、同じ研究室で学ぶ学生達と一緒に研究のために遠野を訪れる。
そして、調査の一環で、町の人に連れられて、かつて霊媒師が住んでいた、という小屋へ。

が、仲間達から少し離れた時、天狗と遭遇。
天狗は柳瀬を吹き飛ばし、17キロほど離れた山の中へ飛ばしてしまう。
(天狗に、どんな意図があったかは最後まで不明。
もしかしたら「ちょっと意地悪」くらいの気持ちだったのかもしれない)

飛ばされた柳瀬を助けたのは、佐々木国士という初老の男。
周囲10キロ以内には人が住んでいない山奥に一人暮らし、という世捨て人、というか変わり者。

柳瀬のケガは足の捻挫だけだが、山奥なので、定期便のバスが近くまで来るのを待った方がいい、というのが佐々木の意見。
が、次の定期便は5日後。

最初は電気の無い生活に戸惑う柳瀬だったが、次第に、その暮らしぶりの良さを見直していくことになる。


佐々木にとって、妖怪は「恐怖」の対象ではなく「自然」の一部。

恵みを与えてくれる事もあれば、牙を剥く事もある。
油断すれば情け容赦なく、つけ込んでくるが、そうでなければ大人しい。

その存在自体は異常なものではなく、ごく普通にあるもの。
都会の人間にとってのカラス、という例えが一番近い、と思う。

柳瀬が、自分が出会った妖怪の話をしても、よくある事のように受け入れる。
あまりに普通に受け入れるので、佐々木自身が異界の住人のようにも思えるほど。
(佐々木が人間ではないのでは、と匂わされるが、その正体は不明確なまま。)

ただ、
「人の恐怖ってのはなぁ、
 たいていは知らないもんに向かうんだよ」
という佐々木の言葉は「異界の住人」というには、あまりに人間的すぎる印象を受ける。

仮に佐々木が「異界の住人」だったとしても、見方を変えると、佐々木にとって、柳瀬こそが「異界の住人」とも言える。
「街の人間」柳瀬と「世捨て人」佐々木、という関係だったとしても、お互い「異界の住人」ではあるが・・・。

知らないものを怖がるのは仕方ないが、それを乗り越える努力はしていたい。

ところで、この「まんがで読破」シリーズは読むとかえって、原典が気になってしまうものが多いので「キケン」なのだが、本書もそのパターンであった。
(これまで読んだ「まんがで読破」シリーズのものとは少々、意味が異なるが・・・)
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