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叶わぬ恋 

銃夢(ガンム) Ⅰ [新装版]
 木城ゆきと
  集英社


天から下がった支柱の末端にぶらさがった空中都市「ザレム」
そのザレムの真下には、ザレムから吐き出された廃棄物の山。
それを囲う形でゴミを再利用して生きる人々が「クズ鉄町」を形成していた。

クズ鉄町は映画「ブレードランナー」のロサンゼルスのようなイメージ。
また、サイボーグ技術が発達し、体の一部、または全身を機械にしている者の方が多い。

そのクズ鉄町のサイボーグ専門医イド・ダイスケはスクラップの山から少女型サイボーグの上半身を発見する。
奇跡的に脳が良好な状態で保存されている事を知ったイドは、彼女を連れ帰り、目覚めさせるものの、あまりに長い間、休眠状態にあったためか、過去の記憶をすっかり失っていた。

サイボーグ少女は「ガリィ」と名づけられ、イドと暮らし始める。
そのイドにはサイボーグ専門医の顔とは別に、犯罪者を狩るハンターウォリアーという顔を持っていた。
(クズ鉄町には警察組織はなく、ハンターウォリアーという賞金稼ぎのシステムが存在する、という設定)

その姿を見たガリィは、周囲の反対を押し切って、自分もハンターウォリアーとして生きる事を決意する。
与えられた幸せの中では生きている実感がない、という気持ちと、イドを助けようとした時、無意識のうちに使った「機甲術(パンツァークンスト)」と呼ばれる火星発祥の格闘技術が自分が何者か知る手がかりになると信じて。

が、ハンターウォリアーとして最初の相手は、これまで10人以上のハンターウォリアーを返り討ちにしてきた「マカク(魔角)」という極めて危険な相手。

最初の対決の時にガリィに右目を潰されて以来、マカクはガリィを執拗に痛めつけるが、その態度の裏にイドは「怨恨」以外の感情があることに気が付く。
・・・それは「恋」

マカクが生身の体を持っていた時は、死にかけても、その叫びに応えた者はいなかった。
そして、「怪物」のボディを手に入れた後、破壊を繰り返すが、誰も応えようとはしなかった点では同じ。

ガリィを除いて・・・。
(返り討ちにあったハンターウォーリアー達は、最初から賞金目当てなので「応える」事はしていない)

イドはマカクがガリィに「恋」をしていると考えたが、個人的にはマカクは「人間として対話」して欲しかっただけのような気がする。

生身の体を失った後、機械の体を与えられる時、どんな姿か選べたのだが、マカクは「怪物」のボディを選んだ。
それは、おそらく人に自分の存在を認めて欲しかったから。
例え、「恐怖」や「嫌悪」「さげすみ」の対象という形でも。

「怪物」となった後、破壊を繰り返したのは自分の生きた証を残したかったから(これはマカク談)
ただ、マカク自身、そんな行いが長く続かない事は理解していた。

「願い」がかなった後、マカクが最後に望んだのは自らの「滅び」
それも「願い」をかなえてくれた者の手にかかって・・・。
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カテゴリ: 木城ゆきと

テーマ: 読書感想 - ジャンル: 本・雑誌

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