小人閑居

「ベストセラー」より「知る人ぞ知る」といった本を紹介していきたいと思います。

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挑戦者

銃夢(ガンム) Ⅲ [新装版]
 木城ゆきと
  集英社


今回はモーターボール編。
2巻の最後の方から4巻の冒頭にかけて掲載されている。

モーターボールとはクズ鉄町で人気の競技で、コース上でトリッキーな動きをするボールを奪い合うレース。

ただし、ボールの奪い合いでは激しい格闘になる事も多いので、レースそっちのけで、格闘に夢中になる選手も多いほど非常に荒っぽいもの。
観客は競馬のように順位を予想し、賭けをしたり、選手目線のカメラの映像を見て、レースを疑似体験して楽しむ。
トップリーグ、セカンドリーグ、サードリーグから構成され、トップリーグの選手ともなると「英雄」扱い。
(ザレムの下部組織ファクトリーがクズ鉄町の住人のフラストレーションのはけ口として利用している節もある。)

ユーゴを失ったガリィは、すべてを忘れるためにモーターボールの世界に飛び込む。
何も考えない、感じることのない、ただ一振りの刃になるために・・・。

自暴自棄になったとも思えるガリィ。
だが、そのガリィの前に「壁」が現れる。
それはトップリーグの無敵のチャンピオン、ジャシュガン。
「帝王」の異名を持ち、ハンデなしでは賭けが成立しないほど。

偶然から、そのジャシュガンに挑戦する権利を得たガリィは急に生き生きとしてくる。
本人曰く「自分は、常に何かに挑戦していなくては、たちまちダメになってしまうタイプの人間だということが分かった」
目標や目指すべきものが無かったら、だらけてしまうのは同じだろう。

それまでガリィはモーターボールの選手の中では、一匹狼的な存在だったが、ジャシュガンに挑戦する事になってから、急に人が集まり始まる。
(モーターボールのルール上、トップリーグの選手とガリィの所属するセカンドリーグの選手の1対1の試合はできず、仲間を集まる必要もあったが)
そして、ガリィ自身もモーターボールの魅力に気付き始める。

ガリィに夢を託す者、ガリィに心酔する者、ジャシュガンと戦いたい者、理由はそれぞれ。
だが、集まってくる者達はモーターボールに人生を賭けた者であるのに対し、ガリィだけは、モーターボールを通して、何かを得ようとしていたのは皮肉ではある。

ところで、ジャシュガンの強さの秘密は、駆け出しの新人選手の頃に受けた脳改造手術により、常人とはかけ離れた心の速度を生み出す集中力である「機」を極めたため。
(脳改造は一種のドーピングではないか、というツッコミは無しで・・・。
クズ鉄町では体を機械化することは一般的なことなので・・・)
ただし、その手術の代償として、突然、脳波が停止する「脳死の発作」というリスクも抱え込むことに。

これまでは、その発作が起きても、すぐに回復していたが、だんだん、脳波が停止する時間が長くなってきていた。
おそらく、あとわずかの命。
ガリィとの試合が最後になるだろう・・・。


個人的にジャシュガンは、本作の中で最も好きな登場人物。
「主人公が目標としながらも、結局、勝てないまま、手の届かない所へ行ってしまうキャラ」
言い換えるなら、
「"明日のジョー"の力石」的なキャラ
には無条件で反応してしまう。

ジャシュガンは後にガリィの夢の中にも登場するが、その際、ガリィは
「なんで死んじゃったんだよ!
 あんたには、もっと教えてもらいたいことがいっぱいあったのに!」
と思いをぶつける。

ガリィにとっての、ジャシュガンの存在の大きさが垣間見える。
ジャシュガンは鏡に映った自分自身の姿であり、常に一歩先を行く理想の姿だったのだろう。
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