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「個」と「集団」 

しろいやみのはてで
 木村裕一 作
 あべ弘士 絵


「あらしのよるに」シリーズの特別編。
6巻で雪山の洞窟で身動きとれなくなった時に、メイとガブがそれぞれ以前の事を回想する、という話。

急に対象年齢が上がった、というのが第一印象。
メイとガブの気持ちが、より掘り下げられている。

メイの母親がギロ(ガブのいる群れのリーダー)に殺されていた、という設定は、アニメ版では冒頭から描かれるが、原作版では、この特別編で明らかになる。
この事実を知ったメイは、ギロと同じオオカミであるガブを憎んだが、ガブはガブだ、という気持ちが描かれていたりする。

実際の社会でも「オオカミ」という「集団」(しかも自らの偏見でイメージを作り上げた集団)で相手を見て、「ガブ」という「個」では見ない人がいる。
・・・と言うより、お互い先入観なしで、個人と個人として、相対した時、「悪い人」に会う、というのは、そうそうあるものではない(と思う)

相手が個性を持つ「個」だと、あまり強く責められないのに、顔のない「集団」だと、平気で責められるのは、なぜだろう?
「個」に対する攻撃だと、その「圧力」の大きさがよく分かり、自分でもひるんでしまうが、「集団」だと、その「圧力」が分散されるのが何となく感じ取れるからだろうか?
その線引きは、どの辺りにあるのだろう?

ちなみに本書は、この事がメインのテーマではない。
一部のエピソードから、こんな事に考えが至ってしまった、というだけなので、悪しからず。
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カテゴリ: 木村裕一・あべ弘士

テーマ: 読書感想 - ジャンル: 本・雑誌

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