小人閑居

「ベストセラー」より「知る人ぞ知る」といった本を紹介していきたいと思います。

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分かりにくい話

ガニメデ支配
 フィリップ・K・ディック & レイ・ネルスン
  創元SF文庫


「本が好き!」より、献本頂きました。感謝。

ガニメデ人との星間戦争に敗れた地球。
世界のほぼ全域はガニメデ人に占領されていた。

ただ一箇所、アメリカのテネシー州を除いて・・・。
そこには、カリスマ的な指導者パーシィXに率いられた「解放戦線」が頑強に抵抗を続け、ガニメデ軍も手を焼いていた。

そのパーシィXを取材するため、有名なテレビ司会者であり、パーシィXと元同級生であるジョーン・氷芦(ひあし)が彼の許を訪れる。

ちょうどその頃、テネシー州の農場経営者兼ホテル経営者、そして山師的要素200%のガス・スウェンズガードが、星間戦争の際、開発されながらも、なぜか封印された兵器群を発見する。
それらは相手に幻覚を見せる兵器群であったが、何かがおかしい。
とりわけ、その中の一つは原理的にテストすらできない、と資料に記載されていた・・・。


レイ・ネルスンの作品は読んだ事がないが、「ディック」という名前に思わず喰いついてしまった。
「幻覚兵器」にからんで、何が現実で、何が虚構か、そもそも現実と虚構とは何か、という話が出てくるあたりディックらしい、という感じがする。

ただし、「幻覚兵器」が、どのようにして人間(とガニメデ人)の脳に作用するのか、なぜそんな効果が現れるのか、というのが分かりにくい。
(仕組みは気にせず、「そのような効果があるもの」と思い込めば、気にならないかもしれないが・・・)

とりわけ、クライマックスで「最終幻覚兵器」がなぜ、ガニメデ人に致命的な打撃を与えたのか、というのが分からなかった。

巻末の解説によると、元々、もっと長い作品だったものが、出版社の都合(ページ数の都合)で一部削除された、という。
その影響だろうか。

また、ガニメデ人と、それに協力的な人間(「ウィクス」と呼ばれる人々)、解放戦線の関係は人種問題のメタファーであるように感じた。
パーシィXは黒人、という設定であるし、解放戦線のメンバーは、ほぼ黒人のみ(黒人以外の有色人種もわずかに加わっている)という事になっているのは、人種問題を暗示させたいのだろう、という気がする。
ガス・スウェンズガードに至っては、自らそうと喋るセリフこそないが、その言動を見ると、「人種差別主義者」である事が明白。
(それに「テネシー州」の「農場経営者」・・・)

ガニメデ人は、白人を意味しているのだろう。
ご丁寧にガニメデ人には身辺の世話する「公奴(クリーチ)」と呼ばれる人間の奴隷がつけられている。

そして、ウィクスは占領された側の支配層。

ただ、これらに関しては「差別」の問題までは踏み込まず、対立関係の暗示、という程度にとどまっている。


ところで、本作のクライマックス以降は、正直、話が分かりにくい。
何故、そういう結果になったのか、途中まではついていけるが、最終的に煙に巻かれてしまう。
これは、合作の悪い点が出てしまったのか、出版社の都合による削除の影響だろうか。
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