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一見、正しく聞こえる話 

23分間の奇跡
 ジェームズ・クラベル
 青島幸男 訳
  集英社文庫


とある国のとある小学校が舞台。
とある国は、外国と戦争し、降伏した。

降伏後、とある小学校での最初の授業。
これからどうなるのか、分からないので、生徒はもちろん、先生までも浮き足立っている。

そして、やってきた外国の先生は・・・。


子供たちは、子供心ながらに、ヒドイ事になるのでは、と予想していたが、その予想は完全に裏切られる。
それどころか、これまでよりはるかに「いい先生」だったのだ。

学校に来る前にあらかじめクラスの生徒の席の場所と名前を全て暗記していたり、
頭ごなしに「○○をやれ」と言う事はせず、意味を考えさせ、理解させた上でやらせたり、
何より、生徒の意見は、全て受け止め、決して否定しなかった。

生徒達は、だんだんと新しい先生が好きになっていく。
ただ1人ジョニーだけ、最後まで疑い続けたが、ある出来事をきっかけにして、新しい先生を全面的に信用するようになる。

授業は9時に始まった。
新しい先生がジョニーを含めたクラス全員の信用を得た時、ふと時計を見ると、9時23分だった・・・。


非常にコワイ話。

事前に状況設定を知らなければ、「理想的な教師の事例」を紹介したものだと思ってしまう。

新しい先生の言う事は正しいのだ。
「国旗の方が人の生命より大事だなんて、そんな事あるのかしら?」
「たとえ大人の人でも、考え方が間違った時には教えてあげるのが正しい事でしょ?」
「目を閉じて、神様にお願いしても、"あたしたちの指導者"にお願いしても、本当は何も出てこないの。」

が、「正しい」の前には「一見」という言葉が付く。

「国旗の方が人の生命より大事だなんて、そんな事あるのかしら?」
と言う先生に、ジョニーは
「国旗は、僕達のものだ」
と言う。

その言葉を聞いた先生は「そうね」と言い、(教室に置いてある)国旗が欲しい、と言い出す。
そして、みんなも少しずつ持つべきだ、とも。

その結果、生徒達は嬉々として国旗を切り刻んで、各自が持ち、無用になった旗ざおは外に投げ捨てられる。
事情を知らない人が、行動だけを見た時、何を意味する事にみえるか?


「たとえ大人の人でも、考え方が間違った時には教えてあげるのが正しい事でしょ?」
間違ったかどうかは、誰が、何を基準に判断するのか?
また、「教えてあげる」場所が、強制収容所と思わしき場所であったら?


「目を閉じて、神様にお願いしても、"あたしたちの指導者"にお願いしても、本当は何も出てこないの。」
この言葉の直前に、先生と生徒達全員が、お祈りで神様にキャンディをお願いする。
が、当然、キャンディは出てこない。

その後、"あたしたちの指導者"にお祈りしている時、新しい先生は、こっそり生徒達の前にキャンディを置く。
(お祈りの最中は、目をつぶっている、と約束させている。)

驚く生徒達。
ただし、目をつぶっていなかったジョニーは、こっそり先生がキャンディを配るのを目撃していた。
その事を指摘された先生は、この言葉を言う。

指摘されなかったら、どのように言うつもりだったのか・・・。


最も恐ろしいのは、これらの事は、先生も「教えられたとおりにやった」事である、という点。
外国の「誰か」が、ある意図をもって、台本を書いたのだ。

これらの事は、最初から「アヤシイ」と分かっていたから、そう思えたにすぎない。
(加えて、"お話"なので、分かりやすくしていた、というのもあるだろう。)

現実にあったら、苦もなくノセられている気がする。
しかも、23分よりも短い時間で・・・。
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カテゴリ: ジェームズ・クラベル

テーマ: 読書感想 - ジャンル: 本・雑誌

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