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庶民の暮らし 

「この世界の片隅に」
  こうの史代  双葉社

太平洋戦争中の昭和18年から20年が舞台。主人公すずは広島から
呉に嫁いでくる。

戦争は、どこか遠くの出来事であるかのように扱われ、主人公の
こまごまとした生活の様子が描かれる。
ちょっとした「事件」はあるものの、平穏な日々、平凡な日常が続く。
だが、間違いなく戦争は行われていて、日々の暮らしの中、突然、
その闇はぱっくりと口を開ける。

直前まで、のどかな日常風景であったのに突然起こる「戦争」。
またマンガの絵柄自体もほのぼのとした感じなので、その落差が
恐ろしい。ただ、救いは、変にジメジメした感じにならないところだ。

たとえ打ちのめされるような事があっても、いつまでも落ち込んでいない。
(いつまでも落ち込んでいるのは贅沢なのだろう)
庶民のたくましい、と言うべきか、したたかな生き方も垣間見える。


作品の中で印象に残った言葉。

「生きとろうが、死んどろうが、
 もう会えん人が居って、ものがおって、
 うちしか持っとらん、それの記憶がある。
 うちはその記憶の器として、
 この世に在り続けるしかないんですよね」

「私のこの世界で出会ったすべては
 私の笑うまなじりに
 涙する鼻の奥に
 寄せる眉間に
 振り仰ぐ頸に宿っている」
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カテゴリ: こうの史代

テーマ: 読書感想 - ジャンル: 本・雑誌

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