小人閑居

「ベストセラー」より「知る人ぞ知る」といった本を紹介していきたいと思います。

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分かっちゃいるけど、やめられない

「たまたま」
 レナード・ムロディナウ
  ダイヤモンド社


原題は「The Drunkard's Walk」
「酔っぱらいの足取り」、つまり「千鳥足」。要するにランダムな運動、
もしくはランダムな現象の事である。

我々の頭は、さまざなま現象の中にパターンを見いだすようにできていて、
ランダムな現象を理解するには、あまり向かない作りになっているらしい。
しかもランダムな現象を目にしたとしても、それが本当にランダムか証明
する方法がないのだ。

数字の「0」と「1」のどちらかをランダムに出力するプログラムを作った
としても、「0」が続く部分もあれば「1」が続く部分もあり、一見、ラン
ダムに見えないこともある。

アップル社は、iPod を発売した当初、ユーザから「ランダム再生」でしばしば
同じ曲か繰り返し再生される、という苦情を受けたらしい。
そのため
「ランダムに感じられるようにランダムでなくした」
のである。

我々が物事にパターンを見出してしまうのは、おそらく「食べられるもの」
「食べられないもの」や「危険なもの」「危険でないもの」などを素早く
正確に区別する必要があったためなのだろう。
が、そのために枝と枝の重なりの中に人の顔を見つけてしまったり、平均株価
の推移と自分の体調が連動しているなどという錯覚に簡単に陥ってしまうのだ
と思う。

確率に関する理論は、その性格上、ギャンブラーや投機的な商人が必要に
迫られて、発達させてきた、という面が強いらしい。論理的な考察が求められる
ものと、ランダムな現象を扱うのでは、方向性がまるで逆、という感じがする。

高校の頃、数学の「確率」が苦手だったが、それは自分が論理的な思考をする
からだったのだ。(たぶん)



ニュートンの物理学が全盛の頃、ある特定の瞬間に自然を動かしているすべて
の力と、それを構成する要素の位置を知っていたら、未来も計算で求めること
ができる、という考え方が流行った時期がある。
(決定論:現在の世界の状態が未来のあり方を厳密に規定する、という考え)

が、それは不可能、ということが判明する。

気象学者がコンピュータを使って、シミュレーションを行っていた時、長い
時間、計算を行った結果と、時間節約のために途中で、以前計算した結果を
用いたものでは、結果がまるで違っていたのだ。
その原因は、計算処理の中では小数第6位の値まで使って計算していたが、
以前計算した値を用いた時は、少数第3位までの値を入力したためだった。
ほんのわずかな違いが積もり積もって、大きな違いとなったのだ。

この現象は、この時の計算結果をグラフにした形が蝶に似ていたのと、蝶の
羽ばたきが気象パターンに影響を与えるかもしれない、ということで
「バタフライ効果」
と呼ばれている。

結局のところ、あまりに多くの変動要素があるので未来は予測できないのだ。
アヤシゲな予言者から、学者にいたるまで「将来を予測」しているが、それらしく
見せるリクツが違っているだけでしかない。
昔、司馬遼太郎の本の中で、学問というものは「何故?」を繰り返していけば、
最終的には、「証明不可能なもの」に行き着く、と書いてあったのを思い出した。

いろいろな理屈をこねて、「将来を予測」しているが、なぜ?なぜ?なぜ?と一皮
ずつ剥いていけば、最終的には、予測した人の願望ということになるのだろう。

予言がどれほどあてにならないかは、ジョン・マローン「当った予言、外れた予言」
(文春文庫)(このブログでも紹介したことがある)を読めばよく分かる。
有名な話では、「ビートルズはアメリカではヒットしない」と予言した人や、
「将来、大成しないだろう」と子供の頃のアインシュタインに忠告した先生の話
などがある。

近年の例では、1999年の某予言者の騒ぎなどなど。

なぜ、予言は今でも人気があるのだろうか。
それは「外れた予言は忘れる」から。
最近、「ノストラダムスの予言」がテレビ番組で取り上げられたが、テレビ業界
の人は約10年前の事は覚えていないようだ、と思った。

予言が外れた場合、あまり印象に残らないが、たまたまでも当たった場合は記憶
に残るのである。
(「確証バイアス」と呼ばれるもの)

だから未だに「予言」は廃れない。

・・・と頭では分かっているが、初詣での時にひいたおみくじで「病気:長引く
が全快」と書かれていた。
思い当たる節があるので、「病気平癒」のお守りを買ってきた。
理屈は理屈、人情は人情、ということで・・・。
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