小人閑居

「ベストセラー」より「知る人ぞ知る」といった本を紹介していきたいと思います。

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繊細

きりのなかで
 木村裕一 作
 あべ弘士 絵
  講談社


あらしのよるにシリーズの第4弾。

今回は、サスペンス(?)のような展開。

ガブはメイにキレイな月を見せたい、と思い、ポロポロヶ丘へ誘う。
が、折りしもオオカミのギロとバリーが、たまたまメイを見つけ、食べてしまおうとつけ狙う。

バリーに、手伝うように言われるが、ガブは手伝うフリをして、メイを助けようと決心。
ガブの活躍で、メイは無事。

ただ、ギロやバリーと話を合わせるため、メイにも聞こえているのを知りながら「ヤギを食いたい」と言ったのを悔やむ。
だが、メイの方もそれは充分、承知の上だった。

それどころか、2匹は、それを冗談のネタにすることもできる間柄になっていた。

ところで、ガブがメイをこの場所に連れてきたのは、ここから見る月がとてもキレイだから。

特別編の「しろいやみのはてで」で出てくる事だが、ガブは何かツライ事があると、ここへ来て、月を眺めていたそうだ。
仲間のオオカミに言ったら、バカにされるだけと思って、黙っていたが、メイは分かってくれそうな気がしたので、連れてきた、と話している。

メイは元から「繊細」というイメージだったが、ガブも充分「繊細」なのだろう。
「ロマンチスト」と言うべきか?

だからこそ、2匹は、馬が合ったのかもしれない。

三角関係

銃夢(ガンム) Ⅱ [新装版]
 木城ゆきと
  集英社


サイバーパンクSFマンガ。1巻ではアクションが中心だったが、今回はガリィの悲恋物語。

クズ鉄町に住む少年、ユーゴ。
彼はクズ鉄町の上空に浮かぶ都市ザレムに憧れ、懸命に働き続ける。
闇ブローカーの大物ヘクターから「1000万チップ(クズ鉄町の通貨)持ってくれば、ザレムに連れて行ってやる」と言われた話を信じて。

そんな中、ガリィはユーゴに出会う。
そして、いつも空を見上げているような目をしているユーゴに惹かれていく。

が、ガリィの体は機械製。
それも戦闘用の強力な力を持っているもの。
ユーゴは生身の人間。

その違いだけでも、素直に気持ちを伝えられない「壁」となっていた。

さらに、ユーゴには秘密の顔もあった。

クズ鉄町では機械製の体の部品は安く手に入るが、高度な技術が必要な脊椎パーツは常に品薄。
そのため、高価なのだが、そこに目をつけて、脊椎パーツを無理矢理、奪い取る「脊椎強盗」も存在する。

ユーゴは、その脊椎強盗でもあったのだ。

かたや脊椎強盗という犯罪者、かたや犯罪者を狩るハンターウォリアー。
ガリィに恨みを持つハンターウォリアー、ザパンは、ガリィにユーゴを仕留めさせようと暗躍する・・・。


ユーゴがザレムに行きたい、と思うようになったのは、死んだ兄の影響によるものも大きいが、クズ鉄町に対する憎しみの裏返しという面も大きい。
「ザレムに行きたい」とは思っているが、ザレムに行ってどうするかまでは考えていない。

ユーゴのビジネスの才能を見抜いたヘクターが大きな仕事を任せる話をもちかけた際、
「ザレムで乞食でもするのか?」
という言葉に、何も答える事ができなかった事が証明している。

ユーゴの将来を一番、現実的に気にかけていたのは、ヘクターではないか、とさえ思ってしまった。


かつて、ユーゴの兄もザレムに憧れ、禁を破ってザレムに近づこうとしたが、その夢についていけなくなった妻によって、ハンターウォリアーに売られ、命を落としていた。
まるで、三角関係のもつれから殺人事件に発展してしまった話のように。

ザレムに行くための資金を稼ぐユーゴは、まるで、せっせと都市ザレムに貢いでいるようにも感じられる。
そして、ガリィはユーゴを取り戻そうとする恋人という役どころか。
ザレムは文字通り「高嶺の花」
結局、このエピソードは、ある意味、ユーゴとガリィと都市ザレムの「三角関係」なのかもしれない。

ふりだしに戻る

ヘタウマ文化論
 山藤章二
  岩波新書


タイトルに「文化論」と銘打っているのだが、実際は「ヘタウマ」をテーマにとりとめもなく考えた事が書かれたもの。
ハードな論考を予期していると、肩透かしをくらう事になる。
が、肩の力を抜いて気楽に読めるので、いい意味で期待を裏切られた。

ところで、本書のテーマとは関係ないが、「あとがき」は著者自筆の文字がそのまま掲載されていて面白い。
著者からの私信が届いたような感じがする。

閑話休題。

「ヘタウマ」という言葉には明確な定義はないが、著者の言う「ヘタウマ」は「ウマく」できる人が、わざと「ヘタ」に見えるようにすること。

ヘタな技が逆に独特の味になって、評価されてしまうのとは異なる。
技を極めた者が、わざわざ折り返してきて、スタート近くに戻ってきているような状態。

前者は本人でさえ、なぜ評価されているか分からない「運」の要素が大きいのに対し、後者は名人が「計算ずく」でやっているのがミソ。

一度、ウマくなった人がわざとヘタに見せるのは想像以上に難しいらしい。
ウマくなるために努力した結果を捨てなければならないのだから、精神的な葛藤もありそうだが、それ以上に身に付いた技を崩そうとしても、体の方が崩してくれないそうだ。

考えなくてもウマくできるようにしてきたのだから、急にヘタにやるようにと思っても、なかなかヘタにできるものではないだろう。

印象に残ったのは、伊東四郎との対談の中で出てきた
「定型があるから崩す面白さがある」
という言葉。

「定型」の方は、とかくワンパターン、古臭い、単調とか敬遠されがちだが、「基本」であることは確か。

自分自身は「定型」さえ極めてない身だが、
「定型を極めていないが、偶然面白く見える技」

「定型を極めた上で、わざと崩している技」
の違いは理解できるようになりたい。

鋼のネコ写真術師

ネコに金星
 岩合光昭
  新潮文庫


世界的に有名な動物写真家であると同時に(筋金入りの)ネコ写真家である著者のネコ写真集。

著者のネコ写真は、写真家らしい絵のような瞬間やおもしろおかしい瞬間は意外に少なく、写真の中のどこにネコがいるのか、パッと見ただけでは分からないようなものさえある。

圧倒的に多いのはネコが生活をしている写真。
著者はネコを求めて47都道府県すべて制覇し、2周目に突入しているほどの人。(海外でも撮影したネコ写真の本もある)

そんな著者だからこそ、ネコ達も様々な顔を見せるのだろう。

今にも話しかけてきそうな顔、
警戒して睨みつけている顔、
興味津々で見つめる顔などなど。

ネコは(時にだが)人間など何するものぞ、と思っている、と言われるが、一緒に暮らしていると、やはり何かしら影響を受けるらしい。

著者は
「ヒトに余裕があれば、ネコにも余裕があるようにも感じます。
忙しくヒトが動く都市部では、ネコの動きも慌しいように見えてきます。」
と言っている。

語れるほど、詳しくネコを観察しているわけではないが、やはり、ネコには気儘に、のんびりしていて欲しい。

ドジでノロマな・・・

「独裁」入門
 香山リカ
  集英社新書


最近、著者の診察室を訪れる初診患者の多くが漠然とした不安感とイライラを訴えているらしい。

言われてみれば、「不寛容さ」が幅を利かせているような気がする。
ウラも取らずに公の場で人を名指しで批判する人(それも一般人でなく政治家)、過激な物言いや言葉尻を捉えて非難するなど。

本(特に新書)ではタイトルで「バカ」「アホ」(本来の悪口の意味で)を使う本が多くなってきたのも、その流れの一つなのか・・・。
(ちなみに、例外はあるが、そういう本は基本的にスルーすることにしている。)

歴史上、独裁者が使う手口は
・「敵」を作る。
・問題を単純化する。
 例)悪い事は、すべて「敵」のせい。
   ○○さえすれば、万事解決
・Yes と No の2つしか選択肢がないと思わせる。
などが挙げられる。
(これが全てではないだろうが、代表的な手口としてはこれくらいだろう)

かつて大人気だった首相や、今、話題になっている一部の政治家がこれにピッタリ当てはまるのに不気味さを感じる。

著者も思いがけず某市長に名指しで非難されてしまったが、この本の半分は、その非難に対する反論のよう。
非難した方の某市長の主張には、かなり前から「危うさ」を感じていたので、著者の主張の方に共感を覚える。
(以前から著者の本が好きだったというのもあるが)

たぶん、民主主義というのは、関係者間の調整を行ったりして、物事一つ決めるのにも時間がかかってカッコ悪く、面倒くさいプロセスなのだろう。

「それじゃダメだから、オレに任せろ。」
と言い出す人が出てくるのは仕方ない事だと思う。

おそらく1つや2つの問題なら、颯爽とあっという間に解決するだろう。

そして、
「ほら見たろ。お前ら、ウダウダ言わず、黙って見てろ」
というセリフが加わるのは時間の問題。

だが、次の問題で間違えるかもしれないし、間違えないかもしれない。
要するに未来永劫、間違える事はない、とは誰も言えない。

間違えた時(もしくは間違えそうな時)誰も何も言えない状況だったりすると・・・。

問題をたちどころに解決する「特効薬」は、そうそう転がっているわけではない。
威勢のいい事ばかり言っている人や、それにすぐ乗っかる人は放っておいて、ちょっと一歩引いて、問題を見直してみる態度を忘れないでいたい。

たとえ「ドジでノロマなカメ」と言われても。
いや、昔のドラマのセリフではないから「ドジ」はいらないか・・・。

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