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副読本 

ぼくらは「化学」のおかげで生きている
 齋藤勝裕
  実務教育出版



「本が好き!」(http://www.honzuki.jp/)より献本頂きました。感謝。

化学、というと縁遠い存在に思えるが、
「ポリ袋」
「液晶テレビ」
「太陽光パネル」
「香料」
は、化学のおかげ、と言えば、身近に感じるかもしれない。

本書では、どんな製品が、どのような化学の法則を利用しているか、化学が自分達の暮らしにどれだけ貢献しているか、を解説したもの。
化学の副読本、といった感じの内容。

化学の教科書では無味乾燥に説明されているが(それが当然だが)、本書では、日常生活で使ったり、目にしたりするものと化学を結びつけて解説している。
化学の知識がなくても、そんなに面食らうような事は無い入門的な内容になっているので、とっつきやすい。
が、反面、それ以上の内容も知りたい、という人には物足りないかもしれない。

ちなみに自分には、ちょうどいいくらいだった。
かつて、高校の頃、化学を選択したが、挫折した経験があるので、化学分野の本に関しては、「入門編」を何度も繰り返している・・・。

カテゴリ: 齋藤勝裕

テーマ: 読書感想 - ジャンル: 本・雑誌

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鵜呑みにしない 

ニセ科学を10倍楽しむ本
 山本弘
  ちくま文庫


科学の衣をまとっているように見えて、その実、主張している内容はツッコミどころ満載。
そんなニセ科学を切りまくる、という内容。

ただし、「ニセ科学を10倍楽しむ」方法について、具体的には書かれていない。

俎上に上がるのは、
・水は字が読める
・血液型性格診断
・ゲーム脳
・有害食品
・2012年 地球は滅亡
・アポロは月に行ってない
など、ニセ科学の鉄板ネタから、「ニセ科学」というのは、ちょっと酷では、というものまである。

「2012年 地球は滅亡」(「人類」だったかも)は記憶に新しい。
(本書は、2010年3月に発売された楽工社の「ニセ科学を10倍楽しむ本」を2015年に文庫化したもの)
あの時、「滅亡」と騒いでいた人たちは、一体、どこに行ったのだろう?

それを言うなら、1999年のノストラダムスの大予言、なるものもそうだが・・・。

そして「アポロは月に行っていない」という話。
本書、最大の鉄板ネタ。
前から思っていたが、「アポロは月に行っていない」という話は、「説」ではなく「宗教」だと思う。

ところで、こういう本では、ニセ科学に対する「怒り」が感じられる事が多いのだが、本書では、不思議とそんな「怒り」は感じられない。
この辺りは、元「と学会」会長という経験の為せる技か。
著者は、トンデモ説は、今後も手を変え、品を変え(そして本質は変わらず)、現れてくるので、その時、どのように対処すべきか、という気持ちでいるようだ。
・・・というか、巻末に「ニセ科学にひっかからないための10か条」というものまである。

一言でまとめると「鵜呑みにしない」という事
ただ、なんでもかんでも鵜呑みにしない、という事はムリなので、自分にとって重要な事に関して、「疑う」姿勢を忘れない、という事だと思う。

ちなみに、最近、あった話を一つ。
「炭水化物はいらない」と主張する某医師。
主張がヘンなので、ネットで経歴を調べたら、専門は「形成外科」だった・・・。

形成外科だから、内科の事に関して、話をしてはいけない、などという事はないが、内科専門の医師より知識が少ない事は事実。
加えて、その主張の内容・・・。
(ちなみに専門分野では、立派な業績をあげている人ではある)

個人的には、意見が割れている件に対して、「●●だ!」と言い切る人は、その根拠に関して、疑ってかかるようにしている。
ついでに、主流とは異なる主張をしている人に対しても。

トンデモ説に対して、頭から肯定も否定もせず、理性的に調査しようと常々、言っていたカール・セーガン(1934年~1996年)も、その著作の中で、こう言っていた。
「尋常でない主張をするなら、尋常でない(量と質の)証拠が必要だ。」

カテゴリ: 山本弘

テーマ: 読書感想 - ジャンル: 本・雑誌

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バッキャロー 

タリスマン(上・下)
 スティーヴン・キング&ピーター・ストラウヴ
  新潮文庫


主人公ジャックは12歳の少年。
数年前に父を亡くし、今は母と暮らしている。

だが、母は、はっきりとは言わないものの、死の病にとりつかれている。
さらに悪いことに、ジャックの父の会社の共同経営者であるモーガン・スロートは、この機に会社を独り占めにするため、ジャックの母を言いくるめて、書類にサインさせようとしつこくつきまとう。

そんなモーガンから逃れようと、母子は、アメリカ東海岸の保養地までやってくる。
母はジャックには詳しい事情を話さないため、ジャックの方は薄ぼんやりとした不安を抱え、毎日を過ごす。

そして、ある日、寂れた遊園地で、ジャックは謎めいた黒人スピーディと知り合う。

スピーディーが言うには、
この世界には、もう一つ、背中合わせに存在する世界「テリトリー」があり、そこは魔法が支配する世界。
一部の人は「テリトリー」に、もう1人の自分「分身者(ツイナー)」がいて、ジャックや、ジャックの両親もその1人である。

そして、ジャックの母は「テリトリー」の女王であり、やはり死の床に臥せっている、という。

「テリトリー」の女王を救う方法は、ただ一つ、「タリスマン」を手に入れること。
それはジャックの母を救うことにもなる。

ジャックは、2つの世界を行き来しながら、遥か西の土地(「テリトリー」では辺境の地))にあると言われる「タリスマン」を求める旅に出る。

行く手を阻むのは、ファンタジーでお約束のモンスターは勿論、欲深な居酒屋の店主、歪んだ信念に囚われた宗教者(というより狂信者)など、バリエーション豊か、というか、妙にリアル。
「タリスマン」自体も、その性質の一つに「純粋なもの」という側面があり、「純粋」なだけに「危険」でもあり、それゆえ厳重に閉じ込められている、という点が、個人的なお気に入りポイントの一つだった。

登場するキャラの中で好きだったのは狼男のウルフ。
(この「ウルフ」というのも、それが、この青年の名前であるか定かではない。「自分達の一族」という意味で、「ウルフ」と言っている節もある。)
成り行き上だったが、ジャックの旅の前半の相棒。

ウルフは、ホラーやファンタジーでおなじみの狼男一族で、言葉遣いや行動こそ、乱暴だが、その分を差し引くと、気のいい青年で、おとぎ話に出てくる、ドジな狼を連想させるところもある。

モーガンに追われて、やむなくだったが、ジャックは、自分の世界にウルフを連れてきてしまう。
「テリトリー」でも比較的田舎育ちのウルフに、現代社会は「悪臭」ばかり。
生まれて初めて見るものも、たくさんあり、ことあるごとにパニックに陥ってしまう。

ジャックは、そんなウルフを「お荷物」と思ってしまうが、自分が連れてきてしまった手前、決して口に出さない。
ウルフの方が何歳か年上だが、ジャックは、まるで出来の悪い弟を扱うかのように接する。

だが、ウルフは、その優れた嗅覚で、ジャックの気持ちを敏感に感じ取っていた。
ジャックが思っている以上に、ジャックの気持ちを理解していたのだ。

時たま、ジャックの役に立てる事があった時のウルフの喜びようは、いじらしい、とさえ感じる。
そして、そんなウルフの最大の、そして最後の見せ場は、物語前半のクライマックスでもあり、その結末は・・・。

しばらく、ウルフの、この口癖が頭にこびりついてしまった。
「バッキャロー」

カテゴリ: スティーヴン・キング&ピーター・ストラウヴ

テーマ: 読書感想 - ジャンル: 本・雑誌

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音楽の力 

音楽嗜好症
 オリヴァー・サックス(著)
 大田直子(訳)
  ハヤカワ書房


映画「レナードの朝」の原作者としても有名な脳神経科医オリヴァー・サックスによる医学エッセイ。
著者の他の作品でもそうだが、長い脚注が玉にキズ。

「音楽嗜好症」という名前の病気があるわけではなく、音楽に関連する症例と、その考察となっている。
また、症例だけでなく、音楽に関するサヴァン症候群の話や、音と色の共感覚の話などもあり、実に盛りだくさん。

音楽を聴いたり、演奏したり、歌ったりするする事は、脳の様々な部位に関わり、かつ深い部分に根ざしているらしい。
病気やケガで、脳の機能の多くが破壊されてしまったとしても、音楽を認識する機能は、なかなか損なわれない。

歌う事ができる失語症患者がいるかと思えば、リズムをつけて歌うように話す事で意思の疎通ができる認知症患者もいるし、記憶が数秒しか持続しない元音楽家の患者は演奏する事ができる。
そういえば、映画「レナードの朝」でも、指一本動かせない患者が音楽に反応するシーンがある。

自分の事を振り返ってみても、Youtubeなどで、子供の頃、見たアニメや特撮番組の主題歌を聴いたりすると、ストーリーは、さっぱり覚えていなくても、自分でもビックリするほど、正確に歌えたりする事がある。
それに音楽ではないが、「イイクニ作ろう」と言われたら、未だに「鎌倉幕府」と反射的に答えてしまう。
(今は、鎌倉幕府の成立は「1192年(イイクニ)」ではないらしいが・・・)

つくづく思うのは、人間の脳の働きの不思議さ。

チェスや将棋など特定のルール下で行われるものなら、人工知能が人間に勝つ時もあるが、「故障」に対する「冗長性」では、人間の脳の方がはるかに進んでいると思える。
本書で紹介された患者達は、「故障」した機能の代わりに動き出した部分が、過剰に活動してしまっているが・・・。

ところで、実際に音楽を治療に用いる「音楽療法」というものも、あるらしい。

薬も効かない症状に対して、音楽が効く、というのも、不思議と言えば、不思議な話。
(ただ、音楽によって、発作が起きる、あるいは症状が悪化するケースもあるので、音楽は決して「万能薬」ではない。)

一体、人間にとって、音楽とは何なのか?という疑問も湧いてくる。

音楽も作曲者や演奏者との「触れあい」と考えれば、映画「レナードの朝」のラスト近くのセリフが頭をよぎる。
「一番の"薬"は"人の心"(=人との触れあい)だった。」

カテゴリ: オリバー・サックス

テーマ: 読書感想 - ジャンル: 本・雑誌

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弟子、師匠を語る 

寺田寅彦  わが師の追想
  中谷宇吉郎
    講談社学術文庫


寺田寅彦は戦前の物理学者であり、随筆家であり、俳人であった人物。
夏目漱石の「吾輩は猫である」の水島寒月、「三四郎」の野々宮宗八のモデルとも言われている。

発想がユニークな人で、個人的にも好きな人物であった。
タイトルは忘れてしまったが、通勤ラッシュ時の電車でも確実に座れる方法の考察や、全く異なる言語の単語が発音も意味も同じになる確率の考察が書かれた随筆など、非常に面白かった。
それに「茶わんの湯」という随筆は、和製「ロウソクの科学」とでも呼ぶべきもので、引き込まれてしまった。

本書は、寺田寅彦の弟子、中谷宇吉郎による追想録。

著者の中谷宇吉郎は人工雪の研究で世界的に有名な人物。
「雪は天から送られた手紙である」という言葉は一度は聞いた事がある、という人が多いだろう。
この研究については、「雪」という本に詳しく書かれているので、割愛するが、この雪の研究自体、寺田寅彦の影響を多大に受けた結果とも言える。

本書は一部、二部で、寺田寅彦の人となりを現すようなエピソードが収録されていて、三部では、有名な「墨流しの研究」に関わる論文と、「物理学序説」(未完)のための、覚書が収録されている。

個人的な印象では、寺田寅彦、というと研究面では(悪い意味でなく)文人趣味的な研究テーマばかり扱っていた、という印象があったが、本書から見えてくるのは、最新の物理学を頭にいれた上で、そういった研究テーマを扱っていた、という姿。
大勢の前では小さくなってしまうそうだが、ほんの数人が相手であれば、「自分の研究は、どれも10年は先をいっている」と、気焔を上げる事もあったらしい。
(実際、その通りなのだが)

本書で何度か言及される「球皮事件」(軍から依頼された事故原因の調査の仕事)では、関係者が原因の候補さえ思い浮かばないうちに、事故原因の見当をつけ、検証の結果、まさにその通りだった、という事があった。
変な研究ばかりしている人ではなかった、と思う反面、一流の科学者である事の証、と誇らしく思えた。
・・・と、こんな偉そうな事を書いてしまうと、関係者に怒られてしまいそうだ。

一番、印象に残っているのは、「物理学序説」の部分。

使っている用語が難しく分かりにくいのだが、本書の解説に記載されている事の力も借りると、寺田寅彦は、この「物理学序説」で
「物理学は"分析"に偏りすぎている。
それでは細分化されるだけで、相互の関係が分からなくなる。

全体を見る人がいなければ、本来の意味での物理学、つまり"物の理(ことわり)"を扱う学問ではないのではないか」
という事を言いたかったらしい。

この言葉、物理学に限らず、今でも他の分野で通用する気がする。

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